天文ガイド 惑星サロン
2021年4月号 (No.223)
安達誠

日中の火星観測(1)

日中の惑星観測といえば金星だけと思われますが、火星観測もできるのじゃないかと前から思ってきました。 そこでいろいろな機会を利用して試してきました。

火星は色が赤いので日中でも観測が可能です。 赤道儀の目盛環で赤緯をあらかじめ合わせておいて、低倍率で火星を探します。 この原稿を書いている1月初旬は、火星の視直径は10秒ですが、青空の中でよく見えます。 望遠鏡のコントラストさえよければ、簡単に見つかります。

私は35p反射で観測していますが、図のように大きな模様は眼視でよく見えます。 今までに使ったいろいろな望遠鏡での実績ではシーイングで3に相当することもよくおこります。 コントラストを上げるために赤フィルターを使うことも試したこともありますが、光量が足りないとかえって見えなくなりました。 倍率は300〜400倍はほしいのですが、口径があればある程度の観測は可能だということが分かりました。

撮像できるのかどうかは分かりませんが、シーイング3くらいあれば、処理によってかなり見えてくるのではないかと思います。

[図1] 日中(午後4時10分)の火星スケッチ
2021年1月4日7時10分(UT)、シーイング:6/10、透明度:5/5、35cm反射赤道儀、329倍/479倍、中央経度:240°、視直径:10.1秒、筆者観測

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