天文ガイド 惑星サロン
2022年2月号 (No.233)
堀川邦昭

眼視観測者の眼とは?

今や惑星の眼視観測者は絶滅危惧種と呼ばれています。 眼視による惑星観測は難しく、個人によって見え方の差が大きいため、「心眼」、「想像」などと揶揄されてきました。 望遠鏡は度が可変の眼鏡ですし、200倍もあれば惑星は月よりも大きいので、視力は関係ありません。 私の経験から考えると、別の理由がありそうです。

話は少しそれますが、昼間に金星を探したことはあるでしょうか。 金星は空よりも明るいのですが、空は広く明るいので、見つけるのは容易ではありません。 しかし、太陽との位置関係から狙いをつけて、建物などで太陽光を遮ると、「あ、あった」という感じで見つかります。 不思議なもので、一度見つけると次はもっと簡単に見つけることができるようになります。 これは見えた時のピントや周囲の明るさとの関係といった眼の感覚を脳が学習するためと考えられます。

惑星の場合は、真っ暗な視野の中に小さく明るい惑星が浮かんでいます。 木星だと縞模様の明暗差は10%程度で、斑点や白斑はもっと低くなります。 金星の時と同じように、バックの暗さに惑わされずに、木星面の小さな明暗に眼を調節できるようになると、少しずつ模様が見えるようになります。 実際の観測では、これにシーイングという別の問題が加わりますので、良い観測ができるようになるには、根気強く続ける必要があるわけです。

もっとも、昔と違って今は素晴らしい画像がありますので、根気強さは必要なくなってしまったのかもしれませんね。

[図1] 筆者の高校生の時のスケッチ
観測を始めて3年目で、ベルトや永続白斑が正しく捉えられるようになった頃。

前号へ INDEXへ 次号へ