天文ガイド 惑星サロン
2022年10月号 (No.241)
堀川邦昭

木星で起こる現象の周期性(1)

木星面で起こる現象を調べると、規則的なものから不定期なものまで、発生頻度は様々です。 これからシリーズで現象の周期性について考えます。 初回は南赤道縞攪乱(SEB攪乱)を取り上げます。

SEB攪乱は淡化したSEBが急激に濃化復活する現象です。 白く淡化したSEB中央部に現れる小白斑で始まり、3つの分枝が組織だった活動をして数ヵ月でSEBを濃化させます。 南分枝の後退暗斑群により大赤斑が淡化するという副作用もあって、木星で最も大規模で華々しく、脚光を浴びる現象として知られています。

かつては最も周期性が高い現象で、1940年代から1960年代半ばまで、ほぼ3年おきに発生していました。 1971年以降は約3年間隔で2回起こった後、15年前後のブランクが空くというパターンが3回続いています。 また、間隔が3年未満だと、規模が小さくなる傾向があるため、「充電期間」に3年を要すると推測されます。

前回は2010年で、白いSEBの中央に青みの強い暗柱が立ち並ぶ様子は、美しく印象的でした。 2018年以降、SEBの北半分が淡化して周期が早まるかと思われましたが、今のところベルト全体が淡化する気配はありません。 そのため、次のSEB淡化は2024年頃、SEB攪乱は2025年頃と予想されます。

[表1] 1970年以降のSEB攪乱
*は推定値
[図1] 2010年のSEB攪乱
中央が攪乱本体、右に南分枝の暗斑群、左は北分枝で濃化したSEBn。撮像:阿久津富夫氏(フィリピン、35cm)

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