天文ガイド 惑星サロン
2023年2月号 (No.245)
鈴木邦彦

学校での惑星観察会

私の勤務校(桐蔭学園高校:横浜市)の放課後企画として、天体観察会を依頼されました。 学校での一般生徒対象の観察会は、「生徒の下校時刻の前に空が暗くなっていること」が必要です。 下校時刻は午後6時半なので、午後5時から6時に星が見えるのは11月から12月に限られます。 季節風が強い冬は気流が悪いので、今回は夕方に南中する土星に狙いを定め、週間天気予報を見ながら、安定して晴れそうな11月11日を開催日に決めました。 前日に告知したのですが、40名近い生徒・教員が集まってくれました。

教室で土星についてのレクチャーの後、ベランダに出てまずは肉眼で土星を確認、次に3台の望遠鏡(10cm屈折赤道儀、11p反射経緯台、16cm反射赤道儀)で観察しました。 この日は気流も透明度も上々で、生徒からは歓声が上がりました。 ほとんどの生徒は天体望遠鏡を覗くのも、土星を見るのも初めてです。 やはり自分の眼で見る生の惑星は、写真で見るのとは全然違う!という感想が多く聞かれました。 ひと通り見た後は、スケッチをしたり、今のご時世スマホで撮影に挑戦する生徒もいて、中にはうっすらカッシーニの空隙の撮影に成功する強者もいました。 天文部員も日ごろ使いなれた反射経緯台を操作しながらサポートをしてくれました。 学校での天体観察会のチャンスは少ないですが、今回は大成功でした。

[図1] 土星観察会の様子と、生徒の描いたスケッチ・感想

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