本誌2024年3月号で、この機材を使用して昼間の天体を撮影する手順を記事にしました。 5月5日の火星食にトライするとも書きましたが、今回はその報告です。
結論から言うと、日中の火星食を観察することはできました。 ただし、雲間からの撮影になってしまい、潜入及び出現の瞬間を撮影することはできませんでした。 観測時の難関は、やはり日中の月の導入です。 この日は、月齢26の細い月に隠されるので、Seestarの自動導入機能では探しだせず、太陽基準で月付近まで誘導し、あとは手動で探し出しました。 また、画面で火星を確認するのも大変でした。 拡大した画像で目を凝らして見てみると、シーイングの影響で明滅する点像の姿をなんとか確認できました。 このように、観察はできましたが、かなりギリギリだった点は否めません。
ここまで読むと、皆さんが思うのは、このようなスマート望遠鏡で観測する意味はあるのかという点だと思います。 もちろん、より大型の機材を持っていれば、このような機材で観察する必要はないと思います。 ただ、口径50mm、焦点距離250mmの光学系でも、日中の1等星程度の食が観察できたという点がポイントです。 市販の望遠鏡で言えば最小クラスですから、つまりは、ほぼすべての望遠鏡で観察することができるのです。 次回の日中の食の際は、機材の大小を気にせずに、ぜひ望遠鏡を昼間の月・惑星・1等星に向けてみてください。
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[図1] 潜入直前の火星 |
2024年5月5日 12時11分20秒(JST)〜、5秒間のデータをスタック処理。Seestar S50茨城県鉾田市にて。 |
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