| 竹内 覚(月惑星研究会) |
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1.Introduction
- photometry(測光):”木星からやってくる光の量を測りましょう”
帯・縞の明るさを定量的に調べられる。
CCDが普及して測光が可能である。
明るさがわかっている星(比較星)が必要である。
2.Albedo(反射能)
- Flaxの計算式(波長によって異なる)。
3.Air mass
- 大気による吸収の補正を行なう。
4.Galileo衛星を使ったPhotometry
- 木星と同一視野にガリレオ衛星を入れる。
ガリレオ衛星の明るさはある程度分かっている。
5.具体例
- 国立天文台(三鷹)50cmカセグレイン
1996年8月25日
- 890nm(5nm)、514nm(8nm)、I-bandフィルター使用。
半値幅の狭いフィルターを用いる。
Ioを使用した。
中央子午線に沿って光度曲線を描く。
EZ:A=0.27、SPR:A=0.10(少し明るすぎる?)。
こんなに簡単にAlbetoが求まるという例を示す。
注釈:竹内さんからメールでコメントを頂きました。
- あれは、こんなに簡単にやるといい加減なAlbedoしか得られない、という例です。あの観測は、雲が通り過ぎる中でやっているので、1枚毎にカウントが違うのです。一応、カウントがそろったものを選んでいるのですが。
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河北秀世(月惑星研究会) |
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色、明るさの経年変化を追うことは重要である。
これまでの眼視観測では定量的に評価することはできなかった。
CCDならば定量的に測定できる。
いろいろの色の木星を一度に撮ってしまう分光器を自作した。
1.木星の分光観測
- 吸収線が見られる(アンモニア、メタン)
2.CCD時代の到来
- 広範囲な波長領域において感度がある(4000〜9500オングストローム)。
4.自作分光器
- C8シュミットカセグレイン(20cm)
ST-6 CCD
反射型回折格子(波長分解能12オングストローム)
3000オングストロームの領域を一度に撮像する。
吸収線のピークで大気中の分子の量を測ることがことができる。
20万円ぐらいで自作可能で、アマチュアでも分光ができる。
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| 長谷川 均(月惑星研究会) |
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岡山天体物理観測所188cmカセグレイン焦点
フィルター(1.70,2.12,2.17,2.35μm)
- 1994.7.16-24
1995.4.1-5 近赤外
1995.5.16-22 近赤外、Kバンド分光
1996.7.29/8.1 近赤外、分光
10ヶ月後にも帯状に見えている(2.17μm)。
1996年には見えない。
定量的な測定を行なう。
- 東西方向の衝突痕の測定(自転によるAlbedoの変化)。
1995年の痕跡は周辺減光を受けず周辺までフラットである。
- メタン波長では高空まで見えているから
衝突時の粒子がどれぐらい高層に残っているかが推定できる。
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| 田部一志(月惑星研究会) |
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衝突痕の拡散する様子から風にのって広がっていることがわかる。
初期値として中心点と三日月をおいて、シミュレーションを行なう。
ボイジャーの測定した風速よりも30%ぐらい遅い気流を採用した。
-55度以南の風は測定されていない。
-60度付近に強い風(100m)を想定しないと説明できない。
1690年12月 D.Cassiniのスケッチ
- EZに丸い暗斑が記録されている。
12/5,14,15,16,19,23にこの暗班は広がっている。
直線的に伸びているので、風にのっているらしい。
EZに丸い暗班をおいて、シミュレーションを行なった。
小さな渦があって形に影響を与えるが、シミュレーションには含めていない。
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| 伊賀祐一(月惑星研究会) |
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STBがどのようになって見えているか、また永続白斑とその付近の白斑はどのように見えているかを整理した。
1996年の安達氏のスケッチからSEB-SSTBの展開図を作成した。さらにPic du Midi天文台が公開している近赤外の写真からも展開図を作成した。STBは部分的に淡化している(STB fade)が、STBnは全周に渡って見えている。淡化部の前端が5月頃に大赤斑を通過したが、その際に淡化部が急激に前進したように見える。これはSSTBの白斑がSTBよりも速い気流で前進し、その影響でそのように見えたものと考えられる。
1995年は浅田氏と安達氏のスケッチから展開図を作成した。今シーズンのSTBの全体の様相はあまり変わっていないことがわかる。ただし、永続白斑のBC,DE,FAが4月頃から順次大赤斑を追い越していった際に、付近の白斑の様子が変化した。
1995年の宮崎氏のCCD画像からの展開図で、FAが大赤斑を追い越す際に、FA前方のSTBに北から湾入しているWS3が生成された様子が記録されていた。STBの気流と大赤斑との何らかの相互作用によってWS3が形成されたと考えている。BCとDEの間のWS1は、それ以前にも存在していた。
1994年7月のSL9の展開図、1994年12月のPic du Midiの画像、1995年2月のHSTの画像から判断すると、WS1は1994年12月までにBCとDEとの間に形成されたと考えられる。1994年から1996年までの変化をまとめる。
RogersのThe Giant Planet Jupiterや、NASAの公開しているVoyagerの動画から、STBと永続白斑の気流を解析し、今シーズンの白斑に適用してみた。永続白斑は左回りの気流だが、WS1・WS3は緯度もやや北よりで右回りの気流で、WS2は左回りの気流だと推定される。
1995-1996年のCMT観測を整理し、BCが永続白斑を再び追い越すのは1997年7月頃、またSEBsのBayも後退していて、1997年7月頃に大赤斑に接近することがわかった。
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| 浅田秀人(月惑星研究会) |
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1993年以降,白斑等の出現で土星にも自転が確認できる模様が発生し,観測対象として興味深いものがある.
1996年はEZ付近にベルト状の暗斑が発生している.暗斑の切れ目は明部であるが輝度はない.悪条件の観測では白斑と見えないでもない.この暗斑は,94,95年の白斑が口径30cmではじめて見えたのに比べると,やや見やすく,20cmで確認できた例がある.但し,1日に10度後退する為,追跡には注意を要する.
ここで,改めて94年の白斑についてHSTの画像を見ると,白斑は2個のベルト状の暗斑に挟まれている.また,その暗斑は木星のフェストーン状に見えている部分がある.
94年の画像は北を上,96年は南を上に配置すると,双方の暗斑は位置関係と形状のイメージが相似している.
これらのことから,暗斑はEZに発生したフェストーンではないかと考える.暗斑の緯度は 300m/sの強風域で,フェストーンの形状はその風で東西に長く伸び,ベルト状になったのではないか.
- ※この項は浅田氏本人からのメールによる。
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| 安達 誠(月惑星研究会) |
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25年分の木星の経年変化を代表的な1枚のスケッチで紹介する。
1970年代の大赤斑は赤味が強く印象的であった。
今後はそれぞれの模様毎の経年変化を追いかけてみたい。
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