ALPO-Japan: Jupiter Section (September 9, 2000)

2000年09月09日の木星

荒川 毅、安藤和典、伊賀祐一、池村俊彦、上野友久、奥田耕司、忍穂井幸夫、新川勝仁、西谷輝昭、前田和儀
T.Arakawa, K.Ando, Y.Iga, T.Ikemura, T.Ueno, K.Okuda, Y.Oshihoi, M.Niikawa, T.Nishitani, K.Maeda


September 9, 2000(UT)

Summary
EZsの暗部と大白斑の大赤斑北方通過に伴い、大赤斑付近のSEB〜EZにかけて大きく変化が起こりました。追跡観測をお願いしましたところ、多くの観測が集まりました。

EZs Dard Spot and GWS interacts with GRS
9月7日UTにEZsの暗部と大白斑の活動が活発になったことをお伝えしましたが、まさに大赤斑北方を通過している様子がとらえられました。高分解能の画像で見ると、SEBnからのRiftは見当たりませんでした。EZsにはI=209,223,242度に大きな暗部があり、さらに細かく分裂しています。大赤斑の真北辺りでは、複雑な気流が見られます。大白斑(GWS)本体は、まだ大赤斑の後方にあり、これが大赤斑を追い越す頃に大きな変化が期待されます(もっとも、全国的な集中豪雨で観測は無理でしょうね)。
SEBZ
大赤斑後方のSEBZがII=120付近まで少し活発になりました。大きな白斑は見られませんが、小さな白斑と暗斑が入り乱れています。ちょうどEZsの暗部の通過がありましたが、何らかの影響があったのでしょうか。SEBcに見られた前進する赤い斑点は、115.7度と153.2度にあります。前方の斑点は、大赤斑後方のSEBの活動域に入ってきましたので、何らかの変化が起こるものと思われます。実際に少し斜めに引き伸ばされているようです。
SSTB and STB
SSTBにはいくつもの白斑が見られていますが、II=87.0度には小さな暗斑ができています。さかのぼると8月28日UT頃から見えています。STBは大赤斑後方で次第に良く見えるようになりましたが、STBnには暗斑が高速に前進しているようです。また、STBs暗斑(#1)はII=127度に見られますが、ずいぶんと淡くなりました。
STrZ band
大赤斑の前方に伸びるSTrZ band(streak)は健在です。II=31.5度のSEBsとの間に小さな白斑があり、ほぼ停滞しているようです。
RS
大赤斑はII=73.7度に位置し、オレンジ色が濃くなっています。また中心部にオレンジ色の濃い部分が見られます。大赤斑本体の左下の大赤斑孔には、明らかな白斑があります。
Large EZn White Spot
EZnのI=215-237度に巨大な横長の白斑があります。9月4日UT頃から発達したようです。それ以前の観測では2個の白斑だったようです。
NTBn small White Spot
II=146.3度のNTBnに小さな白斑が見られます。
Satellite
この日にはイオ(I)の影の経過が18h49mUTから、イオ本体の経過が20h10mUTから始まりました。



Yukio Oshihoi (210mm Newton, Digital still camera NEC PICONA)
No. 29 2000/09/09 16:05:08(UT)
I=131.3 II=343.7 III=292.4

No. 30 2000/09/09 17:11:26(UT)
I=171.8 II= 23.8 III=332.5
210mm Newton, NEC PICONA

  • 今年の木星は、南中高度が高いのでマンションのベランダ観測では、午前3時で木星が上階のベランダに隠れてしまいます。さあ、これからと言うときに、見えなくなるので辛いものがあります。


Koji Okuda (250mm Newton, BITRAN BT-01 Cooled CCD Camera)

No.17 2000/09/09 16h46m(UT) I=154.9 II= 7.1 III=316.9
No.18 2000/09/09 17h30m(UT) I=181.7 II= 33.7 III=343.5
No.19 2000/09/09 18h23m(UT) I=214.0 II= 65.7 III= 15.5
No.20 2000/09/09 19h00m(UT) I=236.6 II= 88.0 III= 37.9
No.21 2000/09/09 19h35m(UT) I=257.9 II=109.2 III= 59.1
250mm Newton, BITRAN BT-01, LRGB
Seeing:4-6/10 Transp.:8/10

コメント

  • この日は夜中だけうまく晴れてくれました、伊賀さんがメーリングリストにかかれていたEZsのグシャグシャしたところを撮像することができました。
  • 今回画像が多くて処理がけっこう大変でした。
  • それから、GRSの下(北側)を通過していく暗斑ですが、今までSEBnの位置だと思っていましたが、EZsなのですね。
  • GRS北エッジに沿って暗斑と白斑が見られる
  • GRS付近のSEBnからEBにかけてかなり複雑になっている

カラー合成に使用したフレーム

Kazunori Ando (280mm SC, Digital Still Camera Fuji FinePix S1 Pro)
Fuji FinePix S1 Pro
Fujiの1眼レフ・デジタルカメラFinePix S1 Proで9/9(UT)に撮影した木星画像データ抜粋8枚をお送りいたします。

お送りするデータは、撮影時に記録した画像データ(2304x1536)から木星が写っている部分800x800を抽出したものです。

本データは画像の回転のみ補正し、アンシャープマスク等の処理は一切行っておりません。 また今回は画像形式もカメラ出力形式と同一のTIFF8ビットRGB形式でお送りいたします。

(注)
掲載時にオリジナル画像の1/2縮尺としました(伊賀)
(注)
以降の画像は伊賀が強調処理を行いました。

No. 27 2000/09/09 16:54:20(UT)
I=161.3 II= 13.4 III=322.2

280mm Schmidt-Cassegrain, XP8mm
Fuji FinePix S1 Pro, 1.0sec


No. 28 2000/09/09 17:19:15(UT)
I=176.5 II= 28.5 III=337.2

280mm Schmidt-Cassegrain, XP8mm
Fuji FinePix S1 Pro, 1.0sec


No. 29 2000/09/09 17:52:30(UT)
I=196.8 II= 48.6 III=357.3

280mm Schmidt-Cassegrain, XP8mm
Fuji FinePix S1 Pro, 1.0sec


No. 30 2000/09/09 18:34:35(UT)
I=222.5 II= 74.0 III= 22.8

280mm Schmidt-Cassegrain, XP8mm
Fuji FinePix S1 Pro, 1.5sec


No. 31 2000/09/09 18:46:10(UT)
I=229.5 II= 81.0 III= 29.8

280mm Schmidt-Cassegrain, XP8mm
Fuji FinePix S1 Pro, 1.0sec


No. 32 2000/09/09 19:25:25(UT)
I=253.5 II=104.7 III= 53.5

280mm Schmidt-Cassegrain, XP8mm
Fuji FinePix S1 Pro, 0.5sec


No. 33 2000/09/09 19:55:12(UT)
I=271.6 II=122.7 III= 71.5

280mm Schmidt-Cassegrain, XP8mm
Fuji FinePix S1 Pro, 1.5sec


No. 28 2000/09/09 20:12:35(UT)
I=282.2 II=133.2 III= 82.0

280mm Schmidt-Cassegrain, XP8mm
Fuji FinePix S1 Pro, 1.0sec


Yuichi Iga (280mm SC, Digital still camera NEC PICONA)
No. 64 2000/09/09 16:51:41(UT)
I=159.7 II= 11.8 III=320.6
280mm Schmidt-Cassegrain, XP24mm(f/27)
NEC Picona 1/7sec, 5 frames composite
Seeing:5/10 Transp.:4/5
  • STBsの暗斑がCM左に見える。
  • NNTBのBARが短く見えている。

No. 65 2000/09/09 17:14:27(UT)
I=176.6 II= 25.6 III=334.3
280mm Schmidt-Cassegrain, XP24mm(f/27)
NEC Picona 1/7sec, 5 frames composite
Seeing:5/10 Transp.:4/5
  • STrZ bandがかろうじて見える。

No. 66 2000/09/09 17:50:19(UT)
I=195.5 II= 47.3 III=356.0
280mm Schmidt-Cassegrain, XP24mm(f/27)
NEC Picona 1/7sec, 4 frames composite
Seeing:7/10 Transp.:4/5
  • 大赤斑の北を通過中のEZsの暗部が見えている。ちょうど大赤斑の真北にあり、かなり乱れている様子だ。
  • NTZの暗斑はII=52度。


Toshihiko Ikemrua (310mm Newton, Digital still camera NEC PICONA)

No. 52 2000/09/09 17:10:02(UT)
I=170.9 II= 22.9 III=331.6
De= +3.3 E.Dia=39.55"

(Enhanced by Y.Iga)

310mm Newton, TeleVue barlow 5x(f/37)
2.0 deg. prism
NEC Picona 1/7sec, 5 frames composite


No. 53 2000/09/09 19:02:00(UT)
I=239.2 II= 90.6 III= 39.3
De= +3.3 E.Dia=39.55"

(Enhanced by Y.Iga)

310mm Newton, TeleVue barlow 5x(f/37)
0.5 deg. prism
NEC Picona 1/7sec, 4 frames composite


Masahito Niikawa (280mm SC, Digital still camera Minolta DimageEx1500)

This map of Jupiter is composed of 198 frames of still images.
The 1st frame was taken at 17:25 UT, and the last frame was taken at 19:39 UT.

AVI Movie(292KB)
9月9日の木星はすでに他の方が報告されておりますので、今更、同じような画像を報告してもおもしろくないのでムービファイルと展開図にしてお送りします。

ムービファイルは、75%に縮小した上に、かなり圧縮しています。


Telescope : C11 (SC) D=280mm fl=2800mm
Camera :Minolta DimageEx1500 Digital Camera taking lens removed
Effective F No.: 25 (XP24mm Eyepiece Projection)
Filter: IR cut & Low-pass built-in the camera
Obs.site : Mozuhonmachi Sakai-City Osaka Japan
Exposure : 1/8 sec
Analog gain: 6dB
Seeing:7/10 Transparency=3/6

Teruaki Nishitani (210mm Newton, Digital still camera NEC PICONA)

No. 9 2000/09/09 17:38:40(UT)
I=188.4 II= 40.2 III=349.0
210mm Newton, XP8mm
NEC Picona 1/7sec, 9 frames composite

(Enhanced by Y.Iga)


No. 10 2000/09/09 18:36:28(UT)
I=223.6 II= 75.2 III= 23.9
210mm Newton, XP8mm
NEC Picona 1/7sec, 10 frames composite

(Enhanced by Y.Iga)


Tomohisa Ueno (150mm Newton, Digital still camera Minolta Dimage 1500EX)

No. 2 2000/09/09 17:41:00(UT)
I=189.8 II= 41.6 III=350.4
150mm Newton, Minolta Dimage 1500EX, 1/2sec

  • 昨夜は久しぶりに晴れたので徹夜・・・・してしまいました。まだ画像処理の途中ですがとりあえず出来たものを送ります。


Tsuyoshi Arakawa (300mm Newton, Digital still camera NEC PICONA)

No. 5 2000/09/09 18:15:30(UT)
I=210.8 II= 62.5 III= 11.2
300mm Newton, PJ20mm(f/29)
NEC Picona 1/7sec, 9 frames composite

(Enhanced by Y.Iga)

No. 6 2000/09/09 18:21:52(UT)
I=214.7 II= 66.3 III= 15.1
300mm Newton, PJ20mm(f/29)
NEC Picona 1/7sec, 10 frames composite

(Enhanced by Y.Iga)

No. 7 2000/09/09 18:40:34(UT)
I=226.1 II= 77.6 III= 26.4
300mm Newton, PJ20mm(f/29)
NEC Picona 1/7sec, 7 frames composite

(Enhanced by Y.Iga)

No. 8 2000/09/09 18:49:20(UT)
I=231.5 II= 82.9 III= 31.7
300mm Newton, PJ20mm(f/29)
NEC Picona 1/7sec, 9 frames composite

(Enhanced by Y.Iga)

No. 9 2000/09/09 19:32:56(UT)
I=258.0 II=109.3 III= 58.0
300mm Newton, PJ20mm(f/29)
NEC Picona 1/7sec, 10 frames composite

(Enhanced by Y.Iga)

No. 10 2000/09/09 19:43:00(UT)
I=264.2 II=115.4 III= 64.1
300mm Newton, PJ20mm(f/29)
NEC Picona 1/7sec, 10 frames composite

(Enhanced by Y.Iga)

Kazuyoshi Maeda (350mm Newton, NEC PICONA)

No. 68 2000/09/09 18:32:19(UT)
I=221.1 II= 72.6 III= 24.4

(Enhanced by Y.Iga)

350mm Newton(F5), XP8mm(f/33.3)
NEC PICONA 1/7sec, 7 frames composite


No. 69 2000/09/09 19:00:49(UT)
I=238.5 II= 89.9 III= 38.6

(Enhanced by Y.Iga)

350mm Newton(F5), XP8mm(f/33.3)
NEC PICONA 1/7sec, 7 frames composite


No. 70 2000/09/09 20:17:04(UT)
I=284.9 II=136.0 III= 84.7

(Enhanced by Y.Iga)

350mm Newton(F5), XP8mm(f/33.3)
NEC PICONA 1/7sec, 7 frames composite

  • やっと、何とか使えそうな画像が撮れたと思います。

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