【各人からの観測報告】
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●繭山浩司氏の観測報告から(1997年 4月19日)
月惑例会に出席できなくなってしまったので、今シ-ズンの観測報告をさせて頂きます。
今シ-ズンは3/28、3/30、3/31に観測することが出来ました。観測した時刻の2系の中央経度はそれぞれ116.0、47.8、196.7でした。
RS |
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- 注目されている大赤斑付近ですが、幅の広い浅いbayとして見えていました。
- 大赤斑本体は捉えられていません。
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その他の模様 |
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- SEBはNEBと同じ位濃く、南組織が濃く見えている経度や、北組織が濃く見えている経度などがあります。
- STBは大赤斑付近では淡くなっているようで確認できませんでしたが、SSTBは木星面のかなりの経度で濃く見えているようです。
- またNTBも見ることができました。
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私の今シ-ズン初めのイメ-ジとしては、ここ数シ-ズンの初め頃に比べ、木星面のコントラストが強く感じられる気がします。
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●堀川邦昭氏の観測報告から(1997年 4月 8日)
ようやく仕事が一段落して、明日まで自宅「療養」です。4-5月は大きな出張もなさそうなので、じっくりと大赤斑とSTrZの白斑の会合が眺められそうです。
それにしても天気が悪いですね。でも今朝、ほぼ1週間ぶりに観測できました。
4/ 7 20h01m(UT) 29h01m(JST) ω1=132.6 ω2=169.7
その他の模様 |
- EZがかなり明るく、NTZはNTrZと同じくらいshadeされ、暗い。
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●堀川邦昭氏の観測報告から(1997年 4月12日)
今朝、例の白斑と大赤斑を見ることができましたので報告します。
4/11 19h55m(UT) 28h55m(JST) ω1= 41.2 ω2= 46.8
STrZの白斑 |
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- 例の白斑が中央に見える。SEBsのbayは凹みが浅く不明瞭だが、周囲のSTrZがshadeされてやや暗いため、白斑状に見える。
- 白斑前端からRS後端にかけてのSEBが淡く、大きなRS bayのよう。
- RSに到達しているかはわからないが、まだのように見える。
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RS |
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- RSは輪郭のぼやけたshade状で赤みなし。
- 後方のSEBの明部は確認できず。
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その他の模様 |
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- NTZ以北全体が強くshadeされ暗い。
- ω2=50°付近から後方で、NTBが北側に拡散して幅広くなっている。
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●伊賀祐一氏の観測報告から(1997年 4月20日)
天候が悪いのと出張とかが重なって、木星を久しぶりに観測しました。
4/17 19h50m(UT) 28h50m(JST) ω1=105.9 ω2= 73.6
- 大赤斑の南半分ががかろうじて認められるが、赤味はない。
- シーリングが悪く、STrZの白斑は見えなかった。
- STrZ白斑より前方のSEBは濃い。
4/19 19h52m(UT) 28h52m(JST) ω1=220.1 ω2=165.1
- 永続白斑FAが何とか西縁に認められた。
- SEBがCMから前方で淡くなっている。
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●堀川邦昭氏の観測報告から(1997年 4月24日)
昨朝、今朝の観測報告です。昨日はシーイングがよく、今シーズン初めて比較的シャープな木星面を見る事ができたのですが、そういう時に限って経度の巡り会わせが悪いものです。今朝はちょうど例の白斑と大赤斑が回ってきていたのですが、寒気が入り込んでまたシーイングが悪くなってしまいました。
4/22 19h45m(UT) 28h45m(JST) ω1=331.2 ω2=253.0
4/23 19h46m(UT) 28h46m(JST) ω1=129.8 ω2= 43.8
STrZの白斑 |
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- 例の白斑は、前端部が濃くこぶ状に盛り上がって見える。
- 白斑本体はぼんやりして 4/11よりも目立たない。
- 後端部も小さなprojection状でRS bayと分離できる。
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RS |
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- RSは相変わらず赤みなく、輪郭はぼやけているが、後ろ半分は明るいchannelによって SEBsから分離できる。
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その他の模様 |
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- どちらの経度でもSTBは淡化し、代わりに拡散したSSTBが見えている。ただし、ω2=220°付近から前方ではやや北寄りで、STBのしっぽが見えているらしい。
- NEBは幅広く、内部には濃淡があり、今シーズンもriftの活動が続いているよう。北縁にはbargeのような暗部がいくつか見える。
- NTBは4/22には確認困難なほど極めて淡かったが、4/23は淡いながらもよく見えた。
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●伊賀祐一氏の観測報告から(1997年 4月28日)
4月26日(UT)に木星を比較的好条件で観測しました。昨年度と比べて赤緯が少し高くなり、明け方の地平高度が高くなった気がします。
4/26 19h21m(UT) 28h21m(JST) ω1=226.6 ω2=118.1
STBと永続白斑 |
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- 大赤斑が西に傾き、永続白斑BC,DE,FAが3つ並んで見える。
- 永続白斑BC-DE間のSTBは濃く見えている。
- BCより前方のSTBはやや北寄りながら、大赤斑の方に伸びている。
- FAから後方のSTBは逆に南にシフトして、さらに後方に伸びている。
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その他の模様 |
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- SEBは大赤斑後方からCM付近までSEBsが濃く、CM後方では逆にSEBnが濃くなっている。
- SEBZは比較的明るい。
- EZBが継続して見えていて、CM付近にNEBから3本のFestoon群と白斑が見える。
- NEBは全体として赤味が強く、幅も広く、昨年と同様に見える。
- この経度のNTBは見えている。ω2=110°ぐらいにNNTBにシフトする箇所が見える。
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●堀川邦昭氏の観測報告から(1997年 4月30日)
伊賀さん、浅田さんの報告が出てしまい、遅きに失した感もありますが、最近の観測報告をします。ご両人の報告とほぼ一致しています。29日の朝は例の白斑が見えるチャンスでしたが、残念ながら曇ってしまいました。
4/24 19h20m(UT) 28h20m(JST) ω1=271.1 ω2=178.3
4/26 18h42m(UT) 27h42m(JST) ω1=204.2 ω2= 95.9
4/26 19h42m(UT) 28h42m(JST) ω1=240.8 ω2=132.1
4/29 19h39m(UT) 28h39m(JST) ω1=352.6 ω2=220.9
永続白斑 |
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- 今シーズン初めて永続白斑を見た。DEが明るくよく目立つ。FAも昨シーズンより明瞭で、輝度はDEよりやや劣るが容易に認めることができる。BCはDE前方のshadeにまぎれて確認できなかった。
- 昨シーズン各永続白斑の間に見られた白斑やBayは消失したらしい。
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STB |
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- STBはDE後方で濃いベルトに見える。前方RSまでは拡散して淡い。FA後方では昨シーズンと同じく 北縁が侵食され、SSTBへとつづいている。
- ただし、南へシフトする場所は昨シーズンより傾斜がゆるやかで、はっきりとした境界は捉えられない。
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SEB |
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- RS後方のSEBが淡い。他の経度でもNEBに比べて淡いがこのあたりは一段と淡い。
- 内部には白斑群の存在をうかがわせる不規則な濃淡が見られるが、詳細はわからない。
- この状態はω2=130-140°あたりまで続いている。
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その他の模様 |
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- EZには比較的大きなfestoonが多数認められるが、EBなどの模様はまだ見えない。4/26はかなり良いシーイングであったが、それでも明瞭な模様は認められなかった。
- NTBはω2=100°付近に「床屋の看板構造」が存在し、後方でNNTBへと変化している。この後方のNTBはかなり淡く、NNTBの方が目立っている。この状態がどのあたりまで続いているかは未確認。
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●浅田秀人氏の観測報告から(1997年 4月30日)
しばらく、火星と太陽に明け暮れていましたが、ようやく木星を見始めています。近頃の火星に比べると3倍もの大きさがあり、安心して覗けるのが嬉しいですね。
4/12 20h09m(UT) 29h09m(JST) ω1=207 ω2=206
4/25 19h43m(UT) 28h43m(JST) ω1= 83 ω2=342
4/26 19h39m(UT) 28h39m(JST) ω1=239 ω2=130
4/28 19h25m(UT) 28h25m(JST) ω1=186 ω2= 62
概観 |
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- 昨シーズン末期に比べ、各belt,zoneが実にコントラストよく均整がとれている感じ。
- 両極付近は今シーズンも南極側に濃度がある。
- 北半球は全般に、昨シーズン末期に見られたように、今も若干赤味を帯びている。
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RSとSTrZの白斑 |
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- 28日は何とかRSと対面しました。極めて悪条件で、眼視ではWS-BayとRS-Bayが一体化していました。画像ではRS-Bayの前端が未だしっかりしているようで、そのすぐ左のSEBsがぼやけており、そこがWS-Bayなんでしょう。
- 因みに、RSはモニタでCMTを取りました。II=60.4です。衝までは前寄りの数値になるとのことですが、それを差し引いても、後退から逆転して前進に転じたものと思われます。
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その他の模様 |
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- STBは昨年同様に螺旋階段状。
- STBの終点(SSTBと合流)はII=240付近。
- 永続白斑はいずれも明るく目立っている。FAが143で、30度前方にDE、さらにその前方15度にBCが見える。いずれも南に開いているから、他の白斑と見違えていることはないでしょう。
- SEBはRS直後からSEBnが細く、引き続きSEBZが活動している。これの終点はII=140付近。
- SEBs南縁は今も凸凹状態の所が多く見られる。
- EZは濃いfestoonが立ち並び、ovalとのコントラストが顕著。
- NEBは北縁が多少波打っている昨年と同じ姿。
- NTBはII=280〜40で通常のbelt.他の経度はどれがNTBなのか不明。
- NTZの70?〜130がshade状態。NTB,NNTBのどちらかの活動か?
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