Mars Image on May 30, 1999 (ALPO-Japan)

1999年 5月30日の火星

池村俊彦、奥田耕司、忍穂井幸夫、新川勝仁、根市満之
T.Ikemura, K.Okuda, Y.Oshihoi, M.Niikawa, M.Neichi


この日には火星による8.2等級の恒星(HIP65927)の掩蔽現象が見られました。
非常に珍しい現象です。池村氏の観測レポートをご覧ください。


Mitsuyuki Neichi (200mm Newtonian, Digital still camera NEC PICONA)

1999/05/30
Ls=146.7゜De=+22.88゜Dia=14.46"
10:08:36(UT) CM=330.23゜, 2枚コンポジット
11:02:04(UT) CM=343.26゜, 4枚コンポジット
11:26:26(UT) CM=349.20゜, 4枚コンポジット
11:38:28(UT) CM=352.14゜, 3枚コンポジット
12:01:16(UT) CM=357.69゜, 2枚コンポジット
12:41:58(UT) CM= 7.61゜, 2枚コンポジット
20cm F8ニュートン反射(苗村鏡) 
テレビュー3Xバーローレンズ 合成F24
NEC PICONA 1/7秒     3枚コンポジット
アンシャープマスク処理  2°プリズム
透明度 8/10  シーイング 7/10

強調画像作成:伊賀 (こちらで拡大した画像としました)

Yukio Oshihoi (210mm Newton, Digital still camera NEC PICONA)

1999/05/30 11:10:46-11:13:00(UT)
Ls=146.66゜CM=345.20゜Ds=+22.88゜Dia=14.46"
210mm  F5 Newtonian 4 images composite
Digital Camera NEC Picona 1/7"
強調画像作成:伊賀
観測コメント
一週間ぶりに火星を拝むことができましたが、シーイングが悪く合成F値をさげて撮像しました。
北極冠付近は雲が発生しているのか、かなり明るく感じられました。もう、北極冠は消失しているのでしょうか??。


Toshihiko Ikemura (310mm Newtonian, Digital still Camera NEC PICONA)
1999/05/30(UT) De=+22.88゜Dia=14.45" 11:38:18(UT) Ls=146.66゜CM=352.10゜4枚コンポジット 11:47:46(UT) Ls=146.67゜CM=354.40゜4枚コンポジット 12:06:48(UT) Ls=146.67゜CM=359.04゜3枚コンポジット 12:40:46(UT) Ls=146.68゜CM= 7.32゜3枚コンポジット 13:50:18(UT) Ls=146.71゜CM= 24.26゜4枚コンポジット 31cm F5 ニュートン テレビュー5Xバーローレンズ 2゜プリズム 合成 F52 NEC PICONA 1/7秒 (強調画像:作成伊賀)

Koji Okuda (250mm Newtonian, BITRAN BT-01 Cooled CCD Camera)
1999/05/30 13h15m(UT)
Ls=146.0  CM= 16.3  De=+22.3  Dia=14.4"

250mmニュートン反射
BITRAN BT-01 冷却CCDカメラ
S=4/10  T=8/10
観測コメント
悪シーイングではあるが、北極冠のすぐ南東側が明るく雲状に見える
北極冠の付近は形がはっきりしており、三日前よりも、すこし大きさが小さくなったように感じる

Masahito Niikawa (280mm SC, Digital still camera Minolta DimageEx1500)
1999/05/30(UT)
Ls = 146.7, De = +22.9, Dia = 14.4

15h20m17s UT, CM =  46.2, 18 frames composite


Telescope : C11 (SC) D=280mm fl=2800mm
Camera : Minolta DimageEx1500 Digital Camera
         taking lens removed
Effective F No.: 30 (XP24mm Eyepiece Projection)
Filter: IR cut & Lowpass built-in the camera
Obs.site : Mozuhonmachi Sakai-City Osaka Japan
Exposure : 1/4 sec
Seeing:6/10 Trans 2/6

Image Processing:

  • the Maximum Entropy Method deconvolution after composite of the original taking images (the leftmost images)
  • Enhanced the leftmost images with the unsharp masking method (center)
  • Enhancing the Blue channel layer images with contrast adjustment. of the leftmost images for easy detection of atmospheric phenomena (3rd left) and,hue of the 3images is inverted (the rightmost images ) The Blue haze is shown as yellow

青色強調画像はこちら

(JPEG 37KB)

Mars Today (Makoto Adachi)

今回目立っているものは南極付近に見られるSouth Polar Hoodです。青っぽく、しかも正しく極付近に位置しています。肉眼では極付近に細くキラキラ輝く極冠のエッジ状の白帯が見えていました。5月29日にもそれらしき姿が安達によって捉えられていますが、今回の方が良く分りました。

北極冠の東側というか、W320度位に直径数度の小さく白い雲が存在しています。また、Acidarium(アキダリウム)の北側に南北に細いスリット状の雲があり、Acidariumが東西に2つに分かれているのが良く捉えられています。Acidariumのすぐ北にあるBaltia(バルティア)の暗色模様の上にも西向きに雲の広がっているのも捉えられています。

赤道付近によく見られた雲は今回は目立っては見られないようです。いつもなら西側にmorning mistがあるのですが、今日はいつになく少なくなっていたようです。

Syrtis(シルチス)の東側にはお決まりの夕霧が発生しており,これから沈んでいくSyrtisが印象的に捉えられていますが,それとは対照的にHellas(ヘラス)の北側のLapygia(ラピギア)まで局部的な雲が広がっているのがよく捉えられています。今シーズンではこの様子が何度となく捉えられており,緯度的によく分かる画像が得られました(根市氏10:09)。また11:02の画像では南極フードの広がりが実によく捉えられており,肉眼で見るよりもさらに北の方まで緩やかに広がっているらしい様子が捉えられており,興味深く思います。


ALPO-Japan Mars Section