@NEB北縁の白斑のマージ
NEB北縁の白斑'Z'が、同じ緯度の前方にある別な白斑に追いつき、1つの白斑にマージ(合体)する現象が観測されました(画像1)。白斑'Z'は、1997年から10年間にもわたって存続する長命な白斑で、すでに6月29日には前方にあった白斑'Y'とマージした様子が初めてとらえられていました。
画像1 NEB北縁の白斑のマージ 撮影/ 月惑星研究会(拡大) |
白斑'Z'は同じ緯度にある白斑よりも早く前進し、9月2日/3日と2つの白斑は次第に接近を続けていました。8日または9日には、白斑'Z'はその前方の白斑と並んでいる様子がとらえられています。そして、9月11日には2つの白斑が接触し、前方の白斑は南側へ、白斑'Z'は北側へ、お互いの周りを右回りに回り込んでいます。残念ながら天候に恵まれずに12日の観測がありませんが、13日の画像では2つの白斑はマージして1つの白斑になっています。翌14日は条件が悪く詳細は分かりませんが、やはり1つの白斑と思われます。その後の観測はなく、月末の30日になってひと回り大きくなった白斑'Z'が確認されました。
NEB北縁の白斑同士のマージは、過去には観測されたことがない珍しい現象です。NEB北縁の白斑は高気圧性の渦で、同様な高気圧性白斑同士のマージは、STB白斑(1998年と2000年)あるいはSSTB白斑(2002年)で観測されました。渦同士が合体するという現象の新しいパターンが観測された瞬間でした。
AEZsの白斑の活動
3月下旬からEZs(赤道帯)が黄濁し、この緯度の活動は今月も活発です。8月にはI系で0°と30°、300°の3ヵ所に暗部がありましたが、そのうちのI=0°の暗部が大赤斑の北側を通過しようとした9月2日に、SEBnからEZsに流れ込む白斑が観測されました(画像2)。3日には大赤斑の真北に、4日には大赤斑の前方に、発達する白斑の様子が見られます。この白斑は、6日には横に伸びた形状となり、その後11日まで存在が確認されました。I=0°の暗部は、7月11日に大赤斑を通過した際にリフトが発達するのが観測されたものと同じです。
EZsに見られるこの現象はSED(South Equatorial Disturbance)と呼ばれるものです。EZsの白斑の活動は1999年10月から2002年3月に見られましたが、約50日で木星面を1周して、大赤斑を追い越すことが知られています。また大赤斑を追い越す際に、白斑の活動が活発になるという特徴を持っています。
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画像2 EZsの白斑の活動 |
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撮影/ 月惑星研究会
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