火星は明け方に高度を上げ、観測しやすくなってきました。5月31日の最接近に向かって、
大きさも大きくなり、次第に見やすくなってきています。2月を回るとLsは100°を越え、
北半球は夏至を過ぎました。北極冠は極の中心から若干外れたところにあって、Meridini
(W0, +0)の見える経度では見えやすいものの、Erysium(W215, +25)の方向からはほとんど
見ることができなくなっています。ただ、この位置からも北極地方に白雲がぼんやり広が
っている様子は記録されました。
今月目立っている現象は、低緯度地方に東西に広がる氷晶雲で、どの経度でも記録されて
います。カラーではなく青画像にその様子が顕著に表れています。氷晶雲はいつも赤道付
近で蛇行している様子が見られますが、地表と見え方の関連も興味深い対象です。
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[図3] オリンピア山の白雲 |
撮像:クライド・フォスター氏(南アフリカ、36p) |
Olympas Monsは正午前より山頂にかかる白雲が顕著です(図1)。一方、Tharsis(W100, +5)
の3つの成層火山は北ほど顕著で、最北のAscraeus Mons(W100, +20)は早い時期から白雲
が出ていました。2月に入ると南方の2つの火山にもその傾向が広がってきました。
南半球の南緯50°にはHellasとArgyre(W30, -50)の2つの大盆地がありますが、これらは
白雲に覆われている様子が記録され、Hellasが真南に来ているときは、Hellasがあたかも
極冠のような姿に見えています(図2)。
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[図4] 明るい雲に覆われたヘラス |
撮像:エフライン・モラレス氏(プエルトリコ、30cm) |
今月は、目立った砂嵐は起こらず、平穏な火星面となりました。
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