土星が9月22日にうお座で衝を迎え、観測の好機となっています。 木星はふたご座を順行中で、明け方の空高く昇るようになりました。 おとめ座の火星は西天低くなり、観測シーズンはまもなく終了です。
ここでは9月下旬までの惑星面についてまとめます。 この記事中では、日時は世界時(UT)、画像は南を上にしています。
木星赤道帯南部(EZs)では、今シーズンも攪乱活動(SED)が続いていますが、「本陣」と呼ばれる主要部の所在がわからなくなっていました。 9月上旬、大赤斑(GRS)前方の南赤道縞(SEB)北縁に切れ目(リフト)が現れ、SEB内の白雲がEZsに流れ込むようになりました。 経度も昨シーズンの延長上にあるので、正真正銘の本陣復活と言えるでしょう。 9月下旬には体系I=30°に位置し、顕著な状態を保っています。
オレンジ色が鮮やかな大赤斑は、8月末から後退を始め、体系II=79°に位置します。 後部のフックはなだらかなスロープとなり、南熱帯紐(STrB)は全周で淡化しつつあります。 暗色模様の活動は衰退しているようです。
後方のSEBでは激しい白雲活動が続いています。 活動域は徐々に短くなっているのですが、当初に比べるとスピードは鈍っています。 mid-SEB outbreakの活動が通常の白雲領域(post-GRS disturbance)に変質した可能性もあり、しばらく様子を見る必要がありそうです。
大赤斑後方の南温帯縞(STB)では、9月下旬に明るい白斑が出現しました。 白斑は東西に伸びて乱れた明部を形成しつつあります。 新しいoutbreakの活動と思われます。 今後の展開に注目です。 II=15°にある永続白斑BAは、先月は暗いリングに囲まれて明瞭でしたが、9月に入るとリングが淡化して再び不明瞭になってしまいました。
幅広い北赤道縞(NEB)は北部が部分的に淡化を始めて、II=200°前後ではベルトが細く見えるようになりました。 北熱帯(NTrZ)から淡化が進む北温帯縞(NTB)南組織にかけて、大小5つの暗斑が観測されています。 これらは体系Iと同程度のスピードを持っていて、今年1月に発生したNTBs jetstream outbreakの名残と思われます。
その北側には、とても幅広いベルトが見られます。 その本体は暗化した北温帯(NTZ)で、NTB北組織(NTBn)と北北温帯縞(NNTB)が南北を縁取っています。 NTZベルト(NTZB)とでも呼びたくなります。
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| [図1] 木星面展開図 |
| 9月23日〜25日の6画像から作成。▲で示したところがSTBで新たに発生したoutbreak。撮像:宮崎勲氏(沖縄県、40cm) |
土星衝を迎えた土星は、環が衝効果により急激に明るくなりました。 一方、環の傾き(B)は9月末には-1.5°まで減少し、だいぶ細くなっています。 カッシーニの空隙は、9月初めは弧を描いて見えたのですが、月末になると、環の両端の節のような見え方になってしまいました。
今後は衝効果が失われてしまいますが、太陽に対する傾き(B')が大きくなるので、それほど暗くならずに、さらに細くなった環が明るい棒のような姿になると予想しています。
土星本体は今月も落ち着いた状況にあります。 南緯50°付近の高速で前進する白斑は、今月も観測されていて、20日に体系III=99°に位置しています。 それとは別に、8月末から南緯43°付近にも白斑が観測されています。 こちらの白斑はIII=210°付近でほとんど動いていません。
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| [図2] 明るく細くなった環と白斑 |
| 衝効果により環は本体よりも明るくなった。矢印(▼)で示したのが南緯43°の白斑。右に白斑を拡大強調した。撮像:石橋力氏(神奈川県、31cm) |
火星火星は西の空低く小さくなり、北極冠が見えるかどうかはシーイング次第です。 低緯度帯では、赤道帯霧がまだ捉えられています。 そろそろ終息する時期となりますが、条件が悪すぎて見届ける前に観測終了となりそうです。
9月18日にナミビアのクライド・フォスター(Clyde Foster)氏が、北極冠の近くにローカルダストストームを記録しました。 この時期はよく似た姿の低気圧が極冠の近くにできるのですが、他色の観測があったため、ダストストームと判断できました。 おそらく今シーズン最後となるでしょう。
観測は限界に近づいていますが、模様が写りやすい赤外画像であれば、10月の中頃まで観測できる可能性があります。 ただし、火星面は他の波長の情報も重要なので、可能な限り挑戦してください。
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| [図3] 北極近くのダストストーム |
| 矢印で示した明るいところがダストストーム。撮像:クライド・フォスター氏(ナミビア、35cm) |
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