世界中の惑星観測者の間で今年大ブレイクしていると言ってもよいほど、惑星撮影用のカメラが大きく変わろうとしています。それは、フィリップス社(オランダ)のToUcam Proと呼ぶWebCamビデオカメラです(図1)。WebCamというジャンルのカメラはCCDやCMOSを使ったデジタルビデオカメラですが、単独では記録することはできないで、USB端子で直接にパソコンに動画ファイル(AVI)を記録します。一般には安く数千円から販売されています。
市販されている機種の中で、ToUcam ProはCCD素子を採用し、低照度まで感度があり、明るさやゲインの制御が可能です。惑星を撮影した際に、VGA(640x480)サイズの動画を1/25秒以下のシャッター速度で記録する事ができます。同様な製品も多いのですが、記録される圧縮率の扱いなどから、ToUcam Proは比較的高画質が得られます。残念ながら国内では販売されていませんので、海外のインターネット・ショップから購入しました。
実際に撮影してみると(図2)、冬場の季節風の悪い条件でもコンスタントに撮影できますし、コンポジット枚数を飛躍的に増やすことができます。海外で観測条件の良い場所では、同じToUcamを使ってはるかに高解像度の画像を得ている人がいます。夏に大接近を迎える火星ですが、南中高度が低いので、こうしたコストパフォーマンスの良いビデオカメラでねらいたいと思います。
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図1 フィリップ社のToUcam Proカメラ |
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図2 ToUcam Proによる木星(筆者) |
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2003/02/07 11h46m(UT) ω1= 63.9°ω2= 35.6° 28cmSCT XP24mm(f/27) 223 frames composite Seeing:4/10 Transp.:3/5
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