NASAの火星周回探査機マーズ・オデッセイの観測データから、火星の南極では毎年春になるといたるところで二酸化炭素が噴出し、大量の砂やチリを大気に吹き上げていることが分かってきました(画像6)。
火星の南極冠には、15〜46メートルの大きさをした黒い斑点が100メートルほどの間隔に並んでいる様子や、さらに斑点が扇形や放射状に並んでいる様子がとらえられていました(画像7)。これらの斑点は、毎年春が訪れ、太陽に照らされるようになると現れ、数ヶ月間すると消失します。そして次の年にも斑点は現れ、中には全く同じ場所に現れるものもあります。
NASAの研究者は、この現象を以下のように説明しています。永久南極冠を形成する水の氷の層の上に砂やダストが薄く降り積もり、その上に真冬になると大気中の二酸化炭素が凍り、厚さ1メートルほどのドライアイスの層ができます。春に、太陽光がドライアイスを通して暗い砂を温め、暗い砂に接するドライアイスを溶かします。ただし二酸化炭素は一気に気体になるので、地表へと爆発的に噴出し、周辺に砂をまき散らします。これが暗い斑点の正体です。
画像6 砂を吹き上げる二酸化炭素の噴射の想像図 (提供:Arizona State University/Ron Miller)(拡大) | 画像7 南極で観測された黒い斑点と扇型の模様。 (提供:NASA/JPL)(拡大) |
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