金星は昼間でも見ることができます。望遠鏡がなかった平安時代や鎌倉時代に
「太白昼見」(太白とは金星のこと)との記録が幾つも残されています。斎藤国治
の古天文への道という著書を見ると、それらの記録は金星が40°以上、太陽から
離れた時に集中しています。
しかし、昼間に金星を肉眼で見るのは簡単ではありません。太陽の光を上手く遮
れたとしても、昼の空には何も目印がないからです。ところが、今年の8月には
ちょっと面白いことが起きます。20日に金星が東方最大離角となり、45.6°も太
陽から離れます。そして、ありがたいことに木星が金星のちょうど反対側にあっ
て、12時間交代で空に現れます。お芝居に例えれば、昼の部が金星、夜の部が木
星の出番というわけです。
図は、左が8月13日の午前0時、右が13日正午に横浜から見た南東の空です。この
日、金星の近くには土星と火星があり、三日月もすぐ近くにあります。この図か
らわかることは、例えば8月13日の午前0時に南東を見て、木星が見えていれば、
その12時間後、13日正午にほぼ同じ位置に金星が見えるということです。
したがって、前夜に木星を見てその位置を覚えておけば、12時間後には金星がほ
ぼ同じ位置に来るので、容易に見つけることができます。空に目印は付けられま
せんが、地上の建物や立木などを目印にして、太陽の光を上手く遮れば、金星を
見つけることができます。皆さんも色々と工夫して、昼間の金星を肉眼で探して
みてはいかがでしょうか。ただし、昼間に金星を探す時は、絶対に双眼鏡や望遠
鏡を太陽に向けないでください。ガリレオは望遠鏡で太陽を見たため失明してし
まいました。
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