天文ガイド 惑星サロン
2020年4月号 (No.211)
水元伸二

木星観測者列伝:薦田 一吉

薦田 一吉(こもだ かずよし 1914〜1967)、日本における木星観測の草分け的存在です。

幼い頃の小児まひの影響で右足が不自由でしたが、ハンディを克服して高校へ進学、そこで天文に興味を持ち卒業後も自作の望遠鏡で木星観測を継続(1944-1961)しました。 第二次世界大戦の戦火が拡大し、観測しづらい環境の中でも英国天文協会紀要などを入手し知識を吸収、スケッチと共にCMT観測を精力的に行いました。

戦後(1950)念願の小さな観測室を完成させ21cmニュートンを設置、観測結果を東亜天文学会やアメリカの月惑星観測者協会に報告しています。 決して鋭眼の持ち主ではありませんでしたが、真摯な観測姿勢はこうあらねばと思わせるものがあります。 またこの時代、木星観測者は極めて少なく貴重な観測記録を残しています。 小惑星6744に"Komoda"の名が付けられています。

[図1] 薦田一吉氏と21cmニュートン
[図2] 薦田氏のスケッチ
1952年のスケッチでは南赤道縞攪乱の暗柱が、1956年のスケッチでは南熱帯攪乱が見られる。

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