木星面現象の周期性について考察するシリーズ、今回は木星面最速のジェットストリームで起こるNTBs jetstream outbreakについて考えます。
この現象は北緯23°の淡化した北温帯縞(NTB)南縁に出現する明るくメタンブライトな白斑(先行白斑)で始まります。 白斑は9h46m台(風速換算で150m/s以上)という木星面最高速を記録し、後続の暗斑群もI系より速いスピードで前進しながらNTBを耕すように濃化復活させます。
19世紀に発見された古い現象で、かつては北温帯流-Cと呼ばれていました。 当初は10〜12年周期で発生し、暗斑群の活動がメインでしたが、1970年以降はパターンが変化し、周期が5年に短縮するとともに、超高速の先行白斑+暗斑群という活動になりました。
5年間隔は1990年まで続きましたが、その後は活動が休止し、NTBは10年以上も濃い状態でした。 2003年に再び淡化すると2007年にoutbreakが復活、次は5年後の2012年でしたが、その後は短くなる傾向にあり、2020年は前回から3年11ヵ月しか経っていません。
現在のNTBは淡化が進んで、次のoutbreakの準備は整っているように見えます。 次回の発生は2023〜24年と予想しています。
[表1] 1990年以降のNTBs jetstream outbreak |
*は推定値 |
[図1] 2020年のoutbreak |
発生から10日後の様子。中央下に先行白斑と後続の暗斑群が見える。撮像:石橋力氏(神奈川県、30cm) |
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