天文ガイド 惑星サロン
2023年11月号 (No.254)
長瀬雅明

町中の私の惑星観測環境

最近は都会地でもディープスカイ撮影が十分可能となっていますが、惑星観測も場所を選ばずにできる天文活動の一つです。

就職とともに星から遠ざかり、定年を目前に星の魅力に引き戻される方も多いと聞きますが、私もその一人です。 50歳目前で新居に引っ越した時は望遠鏡のことなど頭になかったのですが、60歳直前に思いが変わりました。

幸い木造の一軒家にはベランダがあって、望遠鏡を置くスペースがかろうじてありました。 しかしながら、洗濯物干しと天体観望には大きなトレードオフがあります。 家人とのせめぎあいを続けながら少しずつスペースを既成事実として確保、東以外は屋根や隣家で視界が限られるので、惑星が衝を過ぎると視界を確保できなくなるのですが、南からの大雨や大風は軽減できるのが妥協点です。 物干し竿と柱を毎回取り外す手間は残るものの、RP-Astroのピラーに載せて極軸を合わせたEM200に、改造した中古のC9.25を搭載し、雨除けカバーをかけてスタンバイしています。

何よりの利点は鏡筒の温度順応が早いことです。 外に出しっぱなしですから、雨上がりでビショビショでもカバーを外してものの10分ほどで撮影に入ることができます。 大口径に憧れますが、総重量と木造家屋の床の振動を考えると現在のシステムが妥協点かなと思っています。

[図1] ベランダに設置したEM200
物干竿をおろしてカバーを外したところ。望遠鏡の右に見える2本のパイプが物干竿。

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