月惑星研究会例会通信 No.160

■ 日 時 : 2015年11月8日(日曜)13時−17時30分

■ 場 所 : 明治大学生田キャンパス第2校舎2号館2004教室

■ 出席者 : 24名(敬称略、自己紹介順)

  鈴木 達彦、吉田 順平、小道 雄斗、米井 大貴、上田 真結、吉村 光史、久能 友宏、縄田 景太、龍華 良典、
  松岡 義一、三谷 祥二、菱木 風花、高橋 徹 、高橋 和平、海老塚 昇、鈴木 光枝、長瀬 雅明、石橋 力、
  岩政 隆一、三品 利郎、堀川 邦昭、成田 広、米山 誠一、田部一志
          集合写真


■ 内 容

1.自己紹介

  自己紹介は、個人情報保護の観点により削除しました。

       例会の様子

2.木星の近況(堀川)

  1)木星は、8月27日が合で9月から新シーズンに入った。初観測は沖縄の宮崎さんが9月7日でした。
   全体的には合直前の状況が続いている感じである。

            永長氏が撮影した木星面の展開画像(画像クリックで大きな画像が表示されます)
   木星面の展開画像


  2)大赤斑はオレンジ色が濃くて判り易い。10月始めは大赤斑周辺に目立った模様が無かったが、
   中旬に大赤斑後方に暗い突起が見え始め、その後それが発達、前方にもストリークが発生した。
   昨年から今年の年初と同じ状態に近く、同じ状態が起こりそうである。まだ去年の活動より小規模。
   以前はSEBが濃くなると大赤斑が淡くなったが、昨年からはSEBと大赤斑は濃い状態が続いている。
   2010年のSEB撹乱後、2011年から2012年頃は淡くなったが、その後は年々濃くなっている。
   大赤斑の小さくなり回転速度が速くなっている。大赤斑が淡化するのは回りから大赤斑に取り込まれた
   暗斑の影響の可能性もある。アンモニアは白い模様となる。大赤斑の後退速度に変化は無い。

            2015年10月始めと10月月末の大赤斑周辺の変化
   大赤斑周辺の変化


  3)BAは10月頃は不明瞭だったけど、11月に入ると明瞭になり始めた。BA後方のSTBは短くなり暗斑状に
   なっている。BAの前方に暗斑が発生しており、今後、新たなNo.6のSTBとして長くなりBAに接近して
   いくと思われる。

   BAとSTB


  4)SEBは中央部のSEBZが発達している。大赤斑後方の白斑群の活動は弱い。SEBにある赤い斑点が
   体系2の60度より後方に進まない状態が続いている。それらの斑点は止まるか消える60度の壁の現象が
   続いている。SEBは弱めに感じる。今シーズンはmid-SEB outbreakの発生に注意。

   60度の壁


  5)NEBは、拡幅は体系2で0度から60度付近だけであり、他の部位では拡幅は進んでいない。
   体系2で140度付近に赤い斑点(NTrZ d.spot)が発生し、急速に前進し現在は130度付近にいる。
   NEBの拡幅に繋がる可能性もあり要注意である。WSZは健在で、現在は体系2で300度付近に見えている。

   NTrZ


  6)SSTBの白斑(AWO)は、昨シーズンは11個あったが2個(A7a/A7b)消え、9個になっている。

  7)NTBsは淡化し、縁が細く残っている。NTBnの残骸が見える。NTBは緯度が変化し一周するとNNTBに
   繋がっている様(通称:床屋の看板構造)に見える。

2.地球型惑星探査を模擬した地球照の分光観測(海老塚)

   理化学研究所の海老塚昇博士から地球型惑星探査を模擬した地球照の分光観測の講演が行われました。
   講演タイトル

   太陽系外惑星の探査は、ドップラー法やトランシット法などで数多く発見されており、
   大口径の地上望遠鏡や宇宙望遠鏡の開発、さらに大口径の複数の望遠鏡による干渉観測などで、
   今後も数多く発見されると考えられている。ただし、地球型惑星の発見はまだ少ない。

   講演画像2

   講演画像3

   講演画像4

   もし、地球型惑星が発見された場合に、その惑星に生命の兆候があるかを探る手段を研究している。
   植物は、自身の温度が30数度C以上なることを防ぐため、700nm程度より大きな波長のほとんどを
   反射している。その現象はRed Edgeと呼ばれており、そのRed Edgeが観測の指標になると考えている。
   それが実際に観測可能かを、月の地球照を観測することが研究の目的でした。

   講演画像5

   講演画像6

   日本から見える新月直後の月は、アフリカ・ユーラシア・インドなどの大陸らかの反射光を受けおり、
   逆に新月前では太平洋からの反射光を受けているのでその両者の地球照を測定し比較できる。
   日本は地球照の観測には最適な場所に位置 している。 

   講演画像7

   講演画像8

   講演画像9

   講演画像10

   講演画像11

   一見レッドエッジが検出されたように見えるが、地球照のフレームから月の明るい部分のフレームで
   割ってからスカイを引く時にピクセルがズレると結果が大きく異なる。
   望遠鏡の姿勢変化等に対して分光器を安定させ、分解能をより高くすることが 必要。

   講演画像12

   実際の系外惑星系の地球型惑星でRed Edgeを測定するのは、口径10mクラスの干渉型宇宙望遠鏡が
   必要と考えられている。

   講演画像13

4.火星の名所紹介の第6回目−2016年の火星&その他(三品)

  発表内容は、下記テーマをリンクすると個々の説明資料が別のページで開きます。

  1)2016年の火星

  2)永久南極冠

  3)火星の名所案内-大シルチス-

5.46年間(土星の1年)の土星画像(石橋)

  自作の口径105mm、焦点距離750mmのニュートン反射望遠鏡に接眼レンズOr5mmを使った
  コリメート撮影で1968年から2014年までの46年間に撮影した土星画像の説明でした。
  デジタルではなく、全てフィルムで撮影されています。また初期の頃は赤道儀ではなく、
  経緯台でした。この画像は、天文ガイド2015年12月号の観測写真の部で入選されています。

  46年間の土星画像

  土星画像のデータ(PDFファイル)

6.その他

    次回例会は2016年1月24日(日)、会場は船橋市視聴覚センター5階 視聴覚ホールの予定。

2次会:小田急向丘公園駅前「ちゃすけ」(17名)

   二次会の様子

   二次会の様子

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