月惑星研究会例会通信 No.168■ 日 時 : 2017年12月10日(日曜)13時−17時 ■ 場 所 : 明治大学生田キャンパス第二校舎二号館2003教室 ■ 出席者 : 18名(敬称略、自己紹介順) 田部 一志、堀川 邦昭、小澤 徳二郎、高橋 徹、高橋 和平、三品 利郎、成田 広、 林 昇輝、鈴木 風花、小池 陸斗、小松 丈也、西原 柊人、森谷 諒、米井 大貴、 米山 誠一、平林 勇、水元 伸二、齊藤 美和 |
■ 内 容 0.自己紹介自己紹介は、個人情報保護の観点により削除しました。 今回の会場となった教室(生田キャンパスで一番広い教室) 1.2017/11/17-12/09の木星展開図(水元)次の画像は、2017/11/17-12/09の木星展開図です。(画像クリックで大きな画像が表示されます) 画像内容の説明は、堀川さんが「木星の近況」で説明されるので省略します。 2.2016-17 NEBn White Spots(水元)・2016-17 NEBn White Spots(本文:PDF File) ・全体展開図(PDF File) ・WS-d発生展開図 ・WS-aと後方白斑の合体展開図 ・WS-aとWS-hの合体展開図 3.木星探査機JUNOの画像紹介(水元)(1)PJ7 ・Map L3 roll forward to July11 ・NNTB-NEBs ・NN-LRS-1 ・GRS ・Clouds & Waves in GRS ・GRS Gerald Eichst dt(MP4動画 *注) ・Sean Doran(MP4動画 *注) 注:FireFox等のブラウザーで、MP4動画が正常に開かない場合は、右クリックでリンクを保存 もしくはダウンロードし、それを開いてください。 (2)PJ8 ・Map 201707724-28 L3 rolled-to-20170901 ・NEB-NTB JHR ・NEB JHR ・STB-Ghost JHR ・Gerald Eichstdt(MP4動画 *注) (3)PJ9 ・Juno Global-map ・Cyl-maps closeups ・Cyl hires merged NEB ・Gerald Eichst dt rotated(MP4動画 *注) 4.木星の近況(堀川)(1)概況 ・RS後方のSTrZに南熱帯攪乱発生!! ・昨夏に出現したRS後部の暗部は衰退。dark streakは木星面をほぼ一周 ・mid-SEB outbreakはII=100°より前方で活動続くも、衰退中。 ・その他は概ね変化なし。 (2)南熱帯攪乱の発生! ・南熱帯攪乱(STr. Disturbance)とは、前後端を循環気流(SEBsの後退ジェットとSTBnの 前進ジェットが結合した構造)で区切られた、STrZの薄暗い領域。概ね1〜3年の寿命。 ・RS後方40°、II=320°に出現、2007年以来、10年ぶり。 ・作シーズン末、RS後方のSEBsには複数の暗斑があり、合体してSTrZ中の暗斑となった。 この暗斑が南熱帯攪乱に変化したようだ。STB Sprctreはこれらの暗斑に影響を及ぼしており、 南熱帯攪乱の形成にもかかわっていた可能性がある。STrZのdark streakもかなり怪しい。 ・循環気流により、RSとの間のSTBnが乱れている。 ・来年2月〜3月にRSと会合する見込み。 ・1901-39年の南熱帯攪乱では、南熱帯攪乱はRS内部には侵入せず、互いに影響することなく通過、 攪乱前端がRS後端に達すると、短期間(最短で数日)で前方へすり抜け、RS前方で再生する。 後端も同様。今回観測されれば80年ぶり。 (3)STrZのdark streakとmid-SEB outbreakの状況 ・RS後部に出現したコブ状の暗部は衰退し、淡いブリッジが残る。RS南のアーチも消失。 ・RS前方に伸びるdark streakは木星面をほぼ一周、先端は南熱帯攪乱の後端に達する。 ・RS前方のSTrZは明るさを取り戻しつつある。 ・mid-SEB outbreakの活動はII=100°より前方で続いているが、徐々に終息に向かいつつ あるようだ。 ・post-GRS disturbanceはほとんど活動していないようだ。RS後方の白雲はpost-GRS dist. かoutbreakかよくわからない。 (4)永続白斑BAとSTB ・BAはII=100°付近。薄茶色の白斑。後方の小暗斑はまだ消失せず。 ・STB Ghostは青いフィラメントのまま、ベルト化せず。BA+小暗斑まで、あと20°に迫る。 RSとの間に小暗斑群。 ・STB Spectreは南熱帯攪乱の南、II=320°付近。 (5)SSTBの白斑(AWO) ・AWOは9個のまま。A1とA2は合体をまぬがれた。 ・全体の平均ドリフトは-1°/day。A7/A8/A1/A2が密集、A7とA3は離れる。A4が遅れる。 ・大きく開いたA5とA5aの中央に大きなFFR。後方に小白斑を放出、A5aが合体・吸収していると 見られる。 (6)NEBとベルト北部の白斑 ・NEBは拡幅した状態を保っている。大きなリフトはないが、ベルトに葉かなり濃淡がある。 ・北縁に白斑が3つ、他にも明部やbay状に北縁が明るいところが数ヶ所ある。 ・WSZはII=45°にある、少し赤化したようで、薄茶色に濁っている。 ・昨シーズン出現した白斑のうち、WS-aとWS-dがII=160°付近に並んでいる。WS-bは未確認。 (7)Rogersの大胆予想 @ SEBが近い将来淡化を始める! A STBが全周で濃化復活する! ・もし予想通りになれば、過去数十年続いてきた活動パターンが変わる可能性あり。 堀川氏の解説資料(PDFファイル) 5.細長い天体-オウムアムア(三品)三品氏の解説資料(Htmlファイル) 6.2018年の火星大接近-その様子-(資料提供:三品)三品氏の解説資料(発表無し、資料掲載のみ) 7.その他(1)ジュノー・プロアマ・ワークショップの案内(堀川) 木星探査機ジュノー(Juno)の地上支援観測のためのプロアマ・ワークショップが、 2018年5月10〜11日にイギリスのロンドンで開催される。 主催はヨーロッパの惑星科学のコミュニティーであるEuroPlanet。 開催場所は王立天文協会(RAS)のあるバーリントン・ハウス。 このワークショップはEU各国を中心に世界中から木星観測者が集まり、 国際版・木星会議といった趣がある。前回は2016年5月にフランス・ニースで開催され、日本から 堀川と田部が参加した。 今回もEUの観測者の他に、A. Wesley氏(オーストラリア)、C. Foster氏(南アフリカ)などが参加を 表明している。日本からは堀川が参加の予定。また、田部夫妻も参加を検討中。 ワークショップは招待制だが、空きがあれば参加可能と思われるので、希望者は堀川まで連絡して ほしい。 Jup-workshop-2018_Letter(PDFファイル) Jup-workshop-2018_Notes-for-invitees(PDFファイル) (2)明治大学天文部の紹介(西原) ・12月の3日にこの教室で休憩を入れて約7時間、天文部の総会を開催し、正式の代替わりをした。 ・来週、生田校舎で中央大学など他大学の理系のサークルが集まり研究発表を行うイベント 「理系サークルフェスタ」が開催される。明治大学の天文部は惑星班・流星班・太陽班・変光星班の 4班があり、各々ポスター発表を行う予定。生明祭でも行ったプラネタリウムの発表も行う。 ・15〜16日に足柄の観測所でふたご座流星群の観測を行う。また1月の3〜4日にしぶん儀ぎ座流星群の 観測も行う。31日の皆既月食は、生田校舎の部室にて夜間申請を取り観測・撮影を行う。 登録メンバーは110名、内惑星は30名。 (3)東京理科大学天文部の紹介(林) ・理科大の天文部は、惑星班・流星班・彗星班・太陽班・電波班・星野班(撮影)・変光星班・宇宙論・ プラネタリウム班の9班があり、各班に班長がいる。 ・惑星班は1月に代替わりする。晴れていれば神楽坂校舎屋上の望遠鏡で惑星を観測してる。天王星を 導入した。海王星も観測したい。来週の22〜23日に観望会を開催する。 ・ふたご座群では、千葉県の三門観測所(いすみ市、正式名称:東小高(ひがしおだか)天体観測所)で 流星班と電波班が観測予定。電波班は電波望遠鏡で観測する。変光星班も変光星の観測を行う。 個人的には継続して変光星の光度変化を観測することを考えている。 ・彗星班は、M天体(星雲や球状星団)の確認を行う。 ・星野班は星景撮影(東京タワーと星空など)を行う。 ・プラネタリウム班は現在の孔方式からレイザー方式(レーザー+レンズ)に改造している。レーザーは 32本計画している、試作開始から3ヶ月で1本だけなので、完成まで3年以上かかりそう。 ・宇宙論班は月1回程度集まり、ブラックホールなどの研究を行っている。 ・電波班は、電波望遠鏡で惑星等の電波観測を行っている。複数の電波望遠鏡で干渉計を作って観測を 行うことを考えているが、フーリエ変換など計算が難しく苦労している。 ・登録メンバーは約70名 (4)中央大学地学愛好会の紹介(米井) ・天文班と地質班の2班のみだが、活動は活発で毎週活動してる。天文班は最初は星景写真だけだった けど、最近は望遠鏡を使って星雲星団や惑星の拡大撮影を行っている。撮影した画像の使って分析まで 進めば良いなと思っている。登録メンバーは約100名。 (5)月惑星研究会創立当初の話(平林) ・私の雑誌への投稿をきっかけとして、文通で知り合った4人の高校生が渋谷のプラネタリウム屋上に 集まったのが1959年9月。この時の参加者が創設メンバーとなっている。 ・実はこの時もう一人、城谷正紀(じょうやまさのり)さんという高校生が離れた物陰から見ていた ということが後日分かった。 ・その後この城谷さんが会報の作成、木星の観測等、最も活動的メンバーとして会の運営に寄与する ことになった。 ・1965年になると主なメンバーは社会人となり、時間的余裕や諸事情で観測が減り、それに伴って 観測中心の会の活動は衰退していった。 ・城谷さんは大学を卒業して高校の先生になったが、1967年4月2日に理科部の生徒2名と浅間山に 登山し、運悪く寒冷前線通過に伴う天候急変で帰らぬ人になってしまった。 ・後日彼のお父さんから聞いた話として、「小さな火でも消さなければいつかまた大きく燃え上がる ことができる」と話し合って、一人で会の運営に努力されたことを伺った。 ・これを機会にメンバーを再集結して会を復活させた。この時の教訓として「特定個人に負担を かけないこと」を会の基本理念として肝に銘じ、以後現在まで続けてきた。 ・この城谷さんの活動が無ければ今の会は存在しなかったかもしれない。忘れてはならない人です。 ・最近サイトの観測報告の運営で一部の方に大きな負担を強いている。 ぜひ若い人に分担をお願いしたい。 (6)木星面閃光観測(田部) ・国立天文台の渡部潤一副台長と木星面の閃光現象を再び観測することを相談している。 ・木星に小惑星が衝突する時に見える閃光を撮影する活動。数年前に学生が中心となり観測した。 ・木星と観測者の間で起きる発光現象を区別する為に、複数の場所での同時観測が必要。 石垣島と名寄を候補として考えている。観測の詳細が決まったら、応援者を募集します。 8.2019年の木星会議、次回の例会日程(田部)1)2019年の木星会議(第60回の記念大会)は、2019年9月7日(土曜)〜8日(日曜)に開催予定 2)次回の関東地区例会は、2018年3月18日(日曜)に開催予定。 2次会:懇親会向ヶ丘遊園駅近くで9名参加の懇談会でした。 |
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