月惑星研究会例会通信 No.170

■ 日 時 : 2018年5月27日(日曜)13時−17時

■ 場 所 : 明治大学生田キャンパス第二校舎5号館5205教室

■ 出席者 : 23名(敬称略、自己紹介順)

  鈴木 達彦、本島 蓮、小山 誠也、山脇 諒一郎、吉村 宇生、小林 諒、鈴木 孝偉、平 結衣、
  小河 萌、恒川 穂乃佳、西原 柊人、佐々木 杜彰、佐藤 佑樹、秋元 勝文、長瀬 雅明、平林 勇、
  米山 誠一、水元 伸二、小山田 博之、三品 利郎、堀川 邦昭、石橋 力、齊藤 美和、田部 一志、
  鈴木 邦彦、米井 大貴、吉田 順平、石原 朱里、松岡 義一、三谷 祥二、森谷 諒
       例会の様子

■ 内 容

1.自己紹介


     詳細省略

2.2017〜18の木星/トピックス(水元)

   アマチュアによる木星大気現象の解析は主として以下の三つのツールを使用して行う(観測日時はUT使用)
   ・展開図:WinJUPOSを使用して2〜3日に1枚作成 → 時系列に並べる
   ・01_2017-18 Jupiter-Sys2-Maps(PDF)
   ・タイムラプス動画:上記展開図を動画化
   ・02_2017-18_Jupiter-Sys2-Movie(MP4)
   ・ドリフトチャート:個別の斑点などをWinJuposを使用して経度測定 → 縦軸日付、横軸経度でグラフ化

   ・WinJUPOSは下記サイトで入手できる
   http://jupos.privat.t-online.de/
   ・WinJUPOS操作ガイド(三品利郎)は下記
   http://alpo-j.asahikawa-med.ac.jp/Latest/WinJUPOS/winjuposguide_J.html

  1)SSTB(南南温帯縞)
   ・AWO(Anticyclonic White Oval):9個存在
   ・03_a18sst(画像)
   ・A6とA7が合体:5月上旬、A7がBAを追い越した頃から南へシフトして加速、A6に接近 → 合体
   ・04_a18sst-2(画像)
   ・05_A6-A7marge(PDF)

  2)STr Disturbance(南熱帯攪乱)	
   ・合(2017/10/27)直前に発生:Juno PJ9(2017/10/24)で発見
   ・STrD前端(以下前端)は明瞭な暗柱を伴い暗柱を介して前方へ暗雲を供給(循環気流:Circulating Current)
   ・前端はGRSに接近するにつれて加速、2018/2上旬にRSH後端に到達.到達後減速
   ・前端はRSH到達後も暗柱部を介して暗雲をGRS前方へ供給
   ・前端とは別にSTrD中央部からも時々千切れたような暗雲がGRS前方へ供給
   ・前端が加速したためSTrDの全長は長く(2月上旬の最長時35゚)
   ・STrD後端(以下後端)の暗柱は12/下旬頃から不明瞭になるが2018/2上旬頃から境界が明瞭化
   ・後端はゆっくりと前進 → 前端の加速で一時長くなったSTrD全長は徐々に縮小
   ・後端が前端に迫るも2018/5/26現在STrDのジャンプは観測されず
   ・後端が前端に達した時(もうまもなく):STrDがジャンプ? or  STrDは消滅?
   ・06_2017-18_STrD(PDF)
   ・07_2017-18 STrD-movie(GIFアニメ)
   ・08_a18str(画像)
   ・STZを白雲が前進してGRSを追い越す(複数回)
   ・09_2017-18_STrD_L(GIFアニメ)

  3)GRS(大赤斑)	
   ・GRS周辺 :Juno PJ12画像(2018/4/1)ではGRS周辺に多数の渦(高・低気圧的渦)
    (地上からの観測では暗雲に見えても実は渦)
   ・Juno PJ12画像で、GRS周辺での循環気流(Circulating Current)の経路は不明
   ・10_Juno PJ12_STrD-GRS(PDF)
   ・GRSの縁に赤い突起が出現、すぐ近くに高気圧的渦が発生(Juno PJ12画像)
   ・突起は地上からの観測でも認められCH4ブライト.2018/3/30出現?
   ・GRSの回転 or STZの白雲の動きに伴い位置を変える
   ・11_GRS_prj(PDF)

  4)Juno PJ12(2018/4/1)動画(報告割愛)
   ・12_Juno PJ12 G-Eichstat(MP4)

3.木星の近況(堀川)

 (1)南熱帯攪乱の縮小
   ・南熱帯攪乱は2月に最大長35°に達した。
   ・前端がRSに遮られて停滞する間、後端は定速で前進(-0.7°/day)。4月以降、やや加速。
   ・攪乱は後端の前進するにつれて短縮、現在はわずか5°で、1本の暗柱のよう。
   ・後端が前端に追いついた時に、考えられる現象はふたつ
     a)循環気流が解消し、南熱帯攪乱は消失
     b)循環気流がRSを乗り越え、RS前方で攪乱が再生する

 (2)A6とA7の接近・合体
   ・2018年4月末にA7がBA南を通過後に加速、ドリフトは-1.6°/day(9h54m35s)に達し、
    SST Currentとしても異常な値。
   ・5月半ばにA6に接近、。5/24頃から合体始まる。
   ・AWO同士の合体は2016年11月のA8とA0以来

 (3)STBの発達
   ・2月にSTB Ghostが永続白斑BAに衝突し、ベルト化。
   ・STB Ghost後方の暗斑が東西に発達して「tail」を形成、現在は全長60°を超える。
    Ghost由来の本体部分よりも、tailの方が長く濃い。

 (4)その他の状況
   A)SEB淡化?
   ・SEB北部の淡化に加えて、南部も淡化の傾向が見られる。
   ・濃い南組織内に赤茶色のbargeが目立つようになった。
   ・RS後方の白雲領域は弱いながら残っている。

   B)NEB北縁の後退
   ・ほとんどの経度で北縁が後退して、tNEBは通常の太さに戻っている。
   ・拡幅時の北縁が淡く残る。
   ・II=~100°台はさらに後退が進んで、通常の半分程度の幅。
   ・北線に白斑5個、bargeは減少。
   ・WSZはNTrZの露出して拡散している。

   堀川氏の解説資料(PDF)

4.火星の近況(三品)

  三品氏の報告内容は以下のリンク先に掲載されています。

   三品氏の解説資料

5.#RASJuno Meeting 2018 in Londonの報告(堀川)

  木星探査機ジュノーの支援観測のための、プロアマ・ワークショップが5月10〜11日にロンドンで
  開かれた。一昨年のニースに続いて2度目の開催。日本からの参加は堀川一人のみ。
  
  堀川氏の報告内容は以下のリンク先に掲載されています。

   堀川氏の報告

6.木星会議の案内(田部)

  今年の木星会議は、10月13日(土曜)午後と14日(日曜)の午前に国立米子工業高等専門学校で開催されます。
  その時期に学会が開催されるので、ホテルなどは早めに予約した方が良いでしょう。
  木星会議は今年が41回目ですが、毎年開催ではなく木星と地球の会合と同じ回数の12年で11回の
  ペースで1974年から開催されており、学生さんも参加されています。
  木星会議は、月惑星研究会の例会と似ているが1泊2日で行なわれる。内容は主催者により異なる。
  講演会やスケッチ大会なども行われる。米子高専の先生は、中学生や高校生に木星観測を指導して
  観測結果を天文学会などで発表させている。
  木星会議では、気象学的に捉えたり、歴史的に珍しい現象の話や、木星面の現象や木星の撮影方法などの
  研究発表が行なわれます。参加費は学生割引ありです。
   

7.次回の例会日程

  次回の関東地区例会は、2018年7月1日(日曜)に明治大学生田キャンパスで開催予定。

2次会:懇親会

  向ヶ丘遊園駅近くの居酒屋で12名参加の懇談会でした。

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