Video Astronomy

Philips ToUcam Proで惑星を撮る

伊賀祐一

2003/02/23 (Update: 2003/04/30)


1. ToUcam Proの性能とその魅力
Philips社のToUcam Pro(PCVC740K)は一般的にWebCamと呼ばれる安価なCCDビデオカメラです。本体には録画機能はなく、USBインターフェイスでパソコンに接続して使用します。パソコンからカメラの制御を行い、パソコンのハードディスク上に直接にAVI形式の動画ファイルを記録します。最近はCMOSを採用したWebCamも多く発売されていますが、現在のところは低照度での感度や、画像の品質などの点でCCDチップを採用したものの方が天体撮影には向いています。

多くのメーカーからWebCamカメラが発売されていますが、ToUcam Proは惑星を撮影する上でいくつかの利点を持っています。同じCCDチップを搭載したWebCamでも、制御ソフトウェアの方針などで必ずしも天文用に同じ性能がでるとは限らないようです。

  • 低照度まで感度がある。
  • VGA(640x480)でのキャプチャが可能である。
  • 明るさ、コントラスト、ゲインの制御が可能である。
  • 記録されるAVIファイルの圧縮率が高くなく、高品質の画像が得られる。
  • カメラも軽く(110g)、加工も容易である。

こうした特長を持ったToUcam Proは、惑星観測に新しい世界を切り開いています。海外の多くの観測者がToUcam Proで素晴らしい惑星画像を報告しています。

惑星観測には関係ないかもしれませんが、ToUcam Proの基板に手を加えることで長時間露出を可能にし、Deep Skyの世界に導いてくれる改造記事のWEBページも多く見られます。さらに、ペルチェ素子などを使って冷却CCDビデオカメラに改造するWebサイトも見られます。

2. ToUcam Proを望遠鏡に取り付ける −望遠鏡アダプターの自作−

ToUcam Proを望遠鏡に取り付けるアダプターの自作です。カメラ自身は軽いものですが、きちんとした接続アダプターを自作して、アイピースによる拡大撮影を行います。

西谷輝昭さんの改造ToUcam Pro
3. 赤外カットフィルターの改造

ToUcam Proからレンズを外してしまいましたので、もともと装着されていたレンズから赤外カットフィルターを取り出して装着する方法を解説します。

4. ToUcam Proで惑星を撮影する

ToUcam Proを望遠鏡に取り付けて、実際に惑星を撮影してみましょう。Philips社のキャプチャソフトVRecordの解説です。

5. ToUcam Proの画像を処理する −Registax編−

ToUcam Proで撮影したビデオ画像から、コンポジット処理を行い、画像処理を行うことで、観測画像を作ります。ここではフリーウェアであるRegistaxでの処理をご紹介します。Registaxは秀逸なソフトウェアで、ToUcam Proのビデオ画像の処理には必須のソフトウェアです。見違えるような惑星画像を手に入れることができます。


月惑星研究会関西支部