天文ガイド 惑星サロン2007年2月号 (No.53)伊賀祐一

SOHO衛星による惑星観測の憂鬱

SOHO(Solar and Heliospheric Observatory)は、欧州宇宙機関(ESA)とアメリカ航空宇宙局(NASA)によって1995年に打ち上げられた太陽・太陽圏観測衛星です。SOHO衛星の主な探査目的は、太陽の表層部である彩層やコロナの観測や、太陽の内部構造の探査、および太陽風の観測などがあります。

SOHO衛星には12個の観測装置が搭載されていますが、その中でLASCOと呼ばれるコロナグラフの画像にはアマチュアも注目しています。それは、太陽をかすめる彗星(サングレーザー)を太陽の近傍で1000個以上も発見しているからです。そして、LASCOを含めたSOHOの画像は、リアルタイムにWEBで公開されていますので、新しい彗星を発見しようとするアマチュアの観測者が増えています。

さて、このLASCO/C3コロナグラフの2006年11月11日UTの観測(画像8)を見ると、コロナの他に、木星・金星・火星・水星の4つの惑星が同じ視野に写っています。このような機会はめったにありませんし、このときにも1-2日の出来事でした。水星は動きが早く、この画像の3日前の11月8日UTには、水星の太陽面通過が起こりました。

しかしながら、惑星観測者にとってはとても憂鬱な時期でした。なぜならば、明るい4つの惑星が太陽の近くに位置しており、望遠鏡で観測することができなかったからです。残った唯一の明るい惑星は、朝方の土星だけでした。

画像8 SOHO衛星によるLASCO/C3コロナグラフ画像

撮影/2006年11月11日UT 提供/NASA、ESA

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