天文ガイド 惑星サロン
2025年6月号 (No.273)
堀川邦昭

冬のシーイングは難しい

夏のシーイングは最高で、冬は最悪というのは、惑星観測者の常識です。 冬は数少ない好シーイングのチャンスを逃さないようにと、気象サイトの情報からあれこれ予想をするのですが、なかなか当たりません。

日中は風もなく穏やかに晴れていたのに、日没後はボケボケの木星像でガッカリということが何度もありました。 逆に寒波が襲来して冷え込み、半ばあきらめ気味に望遠鏡を向けたところ、予想外に良いシーイングだったということもありました。

対流圏全体を覆い安定な夏の太平洋高気圧に対して、冬のシベリア高気圧は、冷やされた大気が地上付近に滞留したもので、厚みがなく、上空では強い偏西風が流れています。

また、筆者の住む関東地方は背後の山岳地帯が季節風をある程度遮ってくれるのですが、その風下では気流が大きく乱れているようです。 昔、出張帰りの飛行機が富士山の少し下に降下すると、ガタガタと激しく揺れるのを何度も経験しました。 さらに、地上付近の生活気流(台所のファンや風呂など)の影響も相当に大きいようです。

このように冬のシーイングは大気の各層の要因が積み重なっていて、悪シーイングになりやすいという印象です。

いろいろ予想をしてみても、実際のところは木星を見てみないとわからないというのが実感です。 冬のシーイングは本当に難しいと感じます。

[図1] 冬のシーイングのイメージ
高層から下層まで、いくつもの大気の乱れが複合的に重なっていると感じます。

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