2月の木星では、接近しつつあるSTB(南温帯縞)の2個の白斑BEとFAの動向が注目されました。1月末に2つの白斑の中心の経度差は13度でしたが、2月末には10度まで接近しています。冬場で観測数が少なく、2月13日に池村俊彦氏・伊藤紀幸氏(図2-C)の11度、2月19日にMaurizio DiSciullo氏(米国)の11.1度、2月25日にDamian Peach氏(英国)の11度、2月27日に池村俊彦氏の10度が得られました。
今シーズンに観測された白斑BEとFAの距離の変化を図1にまとめました。2つの白斑は1999年8月末まで順調に接近し13度まで距離が縮まりましたが、BEが大赤斑の後方20度に接近した頃からBEの前進速度が加速しました。そのために2つの白斑の距離は15-16度まで広がってしまいました。その後、BEが11月10日頃に、FAが12月10日頃に大赤斑の南を通過し、大赤斑の影響を受けなくなった2000年1月初めから再び接近を始めました。観測数が少なくなりましたが、2月も2つの白斑の接近の様子は変化がないようです。
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図1 BEとFAの経度差 |
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13度まで接近したBEとFAは、大赤斑通過時に16度まで広がった後に、再び急速に接近しています。
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1998年3月にBCとDEがマージ(合体)しましたが、その時の経度差の変化も今回と全く同様でした。一度12度まで接近した2つの白斑は、大赤斑の南を通過する際に17度まで広がりました。大赤斑通過後に再び接近を始め、最後にはBEとして一つの白斑にマージしました。今回の白斑の経度方向の長さはBEが10度、FAが6度ですから、中心の経度差が8度まで接近すると一つの渦にマージする可能性が高いと考えられます。さて、そのマージの時期ですが、早ければ3月、遅くとも6月までには起こりそうだと予想されています。
その他の木星面では、図2のA,Bに示すEZs(赤道帯南組織)の白斑が顕著な姿を見せています。1999年10月に出現した白斑は、12月初めと2000年1月末に大赤斑の北を追い越しましたが、その際に3個の白斑(a,b,c)に分かれているようで、前後に暗部を伴っています。また、図2-Dに示すように、第U系160度付近から後方ではSEBs(南赤道縞南組織)の暗斑群が相変わらず連なっています。
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図2 2000年2月の木星面 |
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A:池村俊彦氏(31cmNECピコナ) B:奥田耕司氏(25cmBITRAN BT01) C:伊藤紀幸氏(60cm SONYビデオDCR-PC100) D:前田和儀氏(35cmNECピコナ)
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