1990年からBC-DEの距離はますます狭くなり、15-20°の範囲で安定していましたが、1997年に大赤斑を通過してからは急速に接近を始めました。合の間の1998年3月に、BCとDEは合体したようですが、詳しいことは分りませんでした。
新しい白斑はBEと名付けられましたが、2つの渦の合体の影響のためか長さが10°ほどに大きくなり、図2のような五角形をした特異な形状をしていました。その後方のFAとの距離がさらに狭くなり、図3に示すような変化をたどり、2000年3月21日頃に2つの白斑は合体しました。図2の3月10日の画像ではBE/FAは分離して見えていますが、3月27日の画像では合体して一回り大きな白斑になったようです。シーズン終了の悪条件でしたが、合体までの過程をとらえることができて本当に幸運でした。
木星面で長命な渦同士が合体する過去の現象としては、1979年のボイジャー探査機による解析、1997年5月にSTrZ白斑が大赤斑に飲み込まれた際の観測、1998年3月のBC-DEの合体などがあります。今回のBE/FAが合体した新しい白斑が、これからどのような変化を見せるのでしょうか。またSTBに新しい活動が起こり、新世代の白斑が生まれるのでしょうか。来シーズンからの観測のテーマができました。
|
図2 合体前後のBEとFA(池村俊彦氏,30cm反射,NEC PICONA) |
|
1999年8月 8日:BEとFAの間に時計回りの小白斑が見える。 2000年3月10日:BEとFAの距離は10°まで接近し、合体が近い。 2000年3月27日:BE/FAの合体後の白斑。
|
|
|
図3 BC-DE/BE-FAの経度差 |
|
BC-DEは1997年8月に大赤斑を通過すると、急速に接近し、1998年3月に合体した。 BE-FAは一度13°まで接近し、大赤斑通過時に16°まで開く。大赤斑通過後の2000年1月から急速に接近し、3月に合体した。両者とも似たような経度の変化を示しています。
|
|
|