| 
太陽をかすめる彗星を数多く発見している太陽観測衛星SOHOの5月の画像(http://sohowww.nascom.nasa.gov/hotshots/)に、水星・金星・木星・土星が同時に写っていることからも、観測できる惑星は現在は太陽の近くにいます。惑星観測はしばらくの間はお休みです。この時期、反射鏡の再メッキ、望遠鏡の調整、CCDカメラのメンテナンス、たまった画像の整理、画像処理法の見直しなど、次の観測シーズンに備えています。
 
私もこれまでに自作した展開図ソフトウェアを、UNIXからWindows環境に移植を進めています。全ての画像処理をパソコンで行っていますので、展開図も同じ環境で使いたいと思って始めましたが、惑星の緯度の傾きに対応しようとか、ついでに経度と緯度を計測できるようなシステムにしようとか、構想が膨らんでしまいました。完成したら、いつか紹介したいと思います。
 
展開図は、木星の全面の様子を知るためには重宝なツールです。いくつかの円筒図法がありますが、一般的なメルカトル図法よりは、実際にながめている木星像と違和感の少ない等積円筒図法が良いと思います。1999年11月3-10日に得られた8枚の画像から作成した展開図を掲載します。
   |  
| 
図  1999年11月の木星の展開図(Cylindrical Map) |  
  | 
池村俊彦氏が撮影した8枚の画像から自作ソフトウェアで作成 データ:310mm反射、デジタルカメラNECピコナ
 | 
  |   
SSTBに見られる6個の小白斑、大赤斑を追い越そうとしているSTB白斑のBEとFA、階段状に見えるSTB、北半分が全周に渡って淡化しているSEBとその南縁の暗斑の連鎖、大赤斑の後方のSEBに見られる定常的な撹乱状の明部、濃くなったEB、シーズンを通して追跡されたEZnの11本のフェストーン、中央部を白いリフト構造が走るNEBとその北縁のバルジや湾、比較的安定しているNTBなど、昨シーズンの木星面の特徴を読み取ることができます。
 
木星の模様は変化が早いので、このような展開図が1ヶ月単位で作成できると、模様の解析が容易になります。Webでいくつかの展開図を公開していますので、ご覧ください。
 
 - http://alpo-j.sakura.ne.jp/
  
 ■木星観測リスト
1999-2000年の木星観測のメンバーの報告数をまとめました(五十音順)。
| 観測者 | スケッチ | 画像 | 観測者 | スケッチ | 画像 |  
| 阿久津富夫 |  | 21 | 嶋田俊之 | 22 | 4 |  | 安達 誠 | 149 |  | 田中 実 |  | 8 |  | 伊賀祐一 | 9 | 81 | 中西英和 |  | 90 |  | 池村俊彦 |  | 297 | 新川勝仁 |  | 185 |  | 伊藤紀幸 |  | 34 | 根市満之 |  | 24 |  | 上野友久 |  | 1 | 林 敏夫 |  | 8 |  | 永長英夫 |  | 10 | 堀川邦昭 | 153 |  |  | 薄出敏彦 |  | 9 | 前田和儀 |  | 105 |  | 奥田耕司 |  | 74 | 松田昭市 |  | 19 |  | 忍穂井幸夫 |  | 25 | 米山誠一 |  | 34 |  | 河原義則 |  | 24 |  |  |  |  | 合計 | 333 | 1053 |  
 
 |   
 
 |