視直径は4月初めの10秒から月末の14秒と大きくなり、かなり小さな模様までとらえられ、火星面で起こるさまざまな現象も確認できるようになりました。
4月になり、火星はいよいよ南極冠が最大の大きさになる時を迎えました。残念なことに、南極地方は大きな雲(南極フード)に覆われており、最も謎に包まれている南極冠のできる過程は見ることができません。今月の観測は、フードの晴れ間からかいま見ることができるかもしれない南極冠付近に注目しました。
4月初め、日本からはソリスが眺められました。南極フードは明るく、所々北へ張り出したような姿をして観測されました。火星全面の中でも80°、130°、220°、300°付近が明るく観測された地域にあたります。南極冠に直接つながる可能性もあり、観測は慎重にすすめられました。予報では、4月初めに南極冠に太陽光線が当たるようになり、フードがなければ南極冠が見え始める可能性がありましたが、残念ながら4月にははっきりとした南極冠は見ることができませんでした。ただ、4月下旬には、気流の条件が良いときに南極の端が明るく輝く様子が時々とらえられています。
4月の中頃から赤道付近に広く覆っていた雲が淡くなり始め、火星の赤道付近は雲に覆われない本来の姿を観測できるようになってきました。これは、火星大気の水蒸気が南極冠に集中しているため、大気中の水蒸気が少なくなり、雲が発生しにくくなったことが原因です。この傾向は4月末まで続き、下旬にオリンピア山が見えるようになりましたが、これまで見られた明るい山岳雲はすっかり見えなくなり、位置の確認すら難しい状況でした。この傾向はおそらく5月中旬の、南極冠が最大になる時期まで続くと予想されます。また、この頃には南極冠が見え始めるときがやってくるでしょう。
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写真3 2001年4月の火星 |
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撮影/池村俊彦氏(名古屋市、31cmニュートン)
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