8月末には日出時の高度も高くなり、写真2の展開図に示すように全周に渡った木星の様相が分かってきました。現在、もっとも注目しているのは淡化傾向の見られるSEB(南赤道縞)ですが、SEB中央部が明るくSEBZ(南赤道縞帯)が全周で形成されています。SEBs(南組織)には例年のようにいくつかの暗斑が連なり、一方SEBn(北組織)もやや幅広くなっています(写真3、8月14日)が、これからどのような現象をきっかけとして淡化していくのでしょうか。
写真2 8月12/13/14日の木星展開図 撮影/永長英夫氏(兵庫県、25cmニュートン、NECピコナ)、作成/著者(拡大) |
SEBに対して、NEB(北赤道縞)は現在の木星でもっとも目立った赤味の強いベルトです。昨シーズンから幅が広くなっていましたが、今シーズンはNEBn(北組織)からNTrZ(北熱帯)にかけて一様に濃化しています。NEBnには赤茶色のbarge(バージ)が、II=50,145,180,240,280,345°と並んでいますが、NTrZの明るいnotch(ノッチ)はII=155°以外は目立ちません。NEB南縁によく見られた青いfestoon(フェストーン)が今シーズンは目立ちませんが、NEB内を斜めに横切る白いrift(リフト)は活発です。
STB(南温帯縞)に見られる白斑"BA"は、8月29日UTにII=156.9°に位置していますが、輝度が低く、その直後のSTBの暗部の方が目立ちます(写真3、8月18日)。この暗部は昨シーズンは40°ほどの長さがありましたが、急速に縮小しています。GRS(大赤斑)はII=76°で位置は変化していませんが、南半分のオレンジ色のコアが見られます(写真3、8月27日)。
今シーズンはNTB(北温帯縞)が全周に渡り細いベルトとして見られ、NNTB(北北温帯縞)には赤味のある濃化部がII=30-50°、130-170°、220°に見られます。
写真3 8月の木星面 撮影/永長英夫氏(兵庫県、25cmニュートン、NECピコナ)(拡大) |
| 土星 |
今年はさらに輪の広がった土星(写真4)が見られますが、カッシニの空隙を通して土星本体がかすかに見えています。
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写真4 8月の土星 |
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撮影/新川勝仁氏(堺市、28cmシュミットカセグレイン、Minolta DimageEx1500)
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