今シーズンの木星でもっとも目立っているのはNEB(北赤道縞)です。NEBは赤味が強いベルトとして見られ、さらに北のNTrZ(北熱帯)までベルトの幅が広がっています。ベルトの赤味は昨シーズンよりも強くなっています。NEBの南縁に見られる青暗いfestoon(フェストーン)は活発ではなく、そのためにNEB内を斜めに横切る3本のrift(リフト)がむき出しの状態で見られることもあります。ベルト自体は一様で、本来のNEBn(北組織)の緯度に赤茶色のbarge(バージ)が7個ほど見られます(II=50,75,105,180,240,275,340°)。bargeは昨シーズンから継続して見られているものですが、NTrZの白いnotch(ノッチ)は、II=140,260,325°にしか見られません。このうちのII=140°のものは昨シーズンも見られたものです。その他の北半球では、NTB(北温帯縞)は全周に渡って見られますが、その南縁に出現する高速ジェット気流に乗った模様は観測されませんでした。また、NNTB(北北温帯縞)のII=30-60°とII=135-165°、II=225°には、赤いbar(バー)が見られます。
写真2 9月22/23/24日の木星展開図 撮影/永長英夫氏(兵庫県、25cmニュートン、NECピコナ)、池村俊彦氏(30cmニュートン、NECピコナ) 筆者(28シュミカセ、NECピコナ)(拡大) |
SEB(南赤道縞)は、ベルトの中央部が明るくなり、SEBZ(南赤道帯)を形成しています。NEBとは逆に、SEBの赤味は無くなってしまい、どちらかというと色が感じられません。SEBは、次のステップとしてSEBs(南組織)の淡化が予想されますが、まだII=170〜330°付近までのSEBsには多くの暗斑が連なっています。
GRS(大赤斑)は先月と同様にII=76°に停滞していますが、赤味が弱くなって見えにくくなっていることと、GRS直後のSEBsに暗斑があって位置がつかみにくい状態です。9月中旬からGRS前方のSTrZ(南熱帯)に向けて、短いstreak(ストリーク)が発生しました。STB(南温帯)の白斑'BA'は、9月23日にII=143.9°にあり、すぐ後方のII=154.7°には楕円形の暗斑があります。昨シーズンには40°ほどのベルトだったものが急速に縮小して、いよいよ楕円形の暗斑に変わってしまいました。'BA'はこのままのドリフトを続けると、2002年1月末にはGRSに接近するでしょう。
写真3 9月の木星面撮影/(左)池村俊彦氏:やや淡くなったGRS、黒点はガニメデ衛星の影の経過。 (中央)永長英夫氏:STBの中央左に'BA'と暗斑が見られる。 (右)池村俊彦氏:NEB内のriftの活動が活発。(拡大) |
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