11月に入って写真2に示すようにGRS(大赤斑)前方に大きな変化が観測されました。11月7日UTに池村氏、伊藤氏、永長氏の画像で、GRSからSTrZ(南熱帯)前方に12°ほど伸びるdark streak(前端II=54°)の発生をとらえました。先月号で紹介したように、10月10日UT頃からGRSの南側を取り巻く暗いアーチ構造が見られ、さらにGRS直後の暗部が濃くなってきたことから、STrZのstreakの発生が予想されていました。streakは14日UTまではほぼ長さは変わりませんでしたが、その後急速に前進し、24日UTには前端がII=35°、長さは30°に達しています。ドリフトは-40°/月を示しており、このままstreakはさらに前方に伸びるのではないかと思われます。近年の観測では、STrZのstreakは1998年8月と2000年7月に発生しており、どちらも3ヶ月間で100°の長さに発達し、前端部はSTB(南温帯縞)に合流しました。
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写真2 STrZのdark streakの発達 |
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大赤斑からdark streakが前方に伸びている。BAは2002年1月下旬に大赤斑を通過する。 撮影(写真3も)/池村俊彦氏(名古屋市)、伊藤紀幸氏(新潟県)、永長英夫氏(兵庫県)、風本 明氏(京都府)
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さて、このSTrZには2個の暗斑がII=25°と41°(11月14日UT)にあります。これは2000年10月頃に発生してカッシーニ探査機でもとらえられた渦と同じもので、高解像度では中心は白く見えます。前方のものは10月上旬に、もう一つは10月下旬に形成されたようで、ドリフトは+3°/月でゆっくりと後退しています。昨シーズンの暗斑は2001年3月にGRSと会合していますが、今回はdark streakの活動領域と重なってしまい、このまま継続するものか興味深いところです。また、昨シーズンはstreakの消失後に暗斑が形成されたのですが、今回は先に暗斑が形成されている点で、どのような違いが見られるでしょうか。
●NEBのbargeの合体現象
NEB(北赤道縞)は赤味が強く幅が広くなっていて拡幅期にあります。NEB中央部には本来のNEBn(北組織)の緯度に7個の赤茶色の暗斑bargeが見られます。bargeの位置は11月中旬でII=43°,68°,100°,167°,237°,268°,333°、またその間のNTrZ(北熱帯)には5個の白斑notchがII=58°,118°,200°,247°,317°に交互に見られます。
写真3と図4に示すように、このNEBのbarge同士の合体という珍しい現象が見られました。9月からII=150°のbargeの前進が加速され、その前方のII=115°のbargeに急速に接近していましたが、11月15日UT頃に一つのbargeに合体してしまいました。合体後は後方のbargeの前進速度を保っていて、やや大きくなっているようです。
また、NEBのII=145°付近ではほぼ20日間隔で白斑の発生が継続しています。この現象は8月13日から観測されており、10月26日の後は、11月10日、30日に小さな白斑が発生し、それが東西に拡大して長大なriftに発達しています。NEBは中央部のbargeをつなぐようにNEBc(中央組織)が目立つようになっており、今後は拡幅期からNEB北部側が次第に淡化して元のNEBの状態に戻っていくだろうと思われます。
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写真3 NEBの2つのbargeの合体 |
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2個のbargeが合体して1つになった。太い矢印はII=145°のNEBの白斑発生を示す。
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図4 NEBのbargeとnotchのドリフト |
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●がbarge、〇がnotchを示す。合体したbargeの後方のnotchも同様に加速している。
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