土星は夜半過ぎに東空に姿を見せ、夜明けには天頂付近に見られます。今シーズンも自転軸が大きく南に傾いていて、土星本体が環に包み込まれている姿を見ることができます。
昨シーズンと比較して、土星表面に見える暗い縞模様には大きな変化は見られません(写真4)。SEB(南赤道縞)が濃いベルトとして見えていて、特にSEBn(北組織)が濃い状態です。EZ(赤道帯)は明るく、中央にEB(赤道縞)が見られます。STB(南温帯縞)が淡く見えています。SPR(南極地方)は暗く見えていて、その周りのベルトはSSSTB(南南南温帯縞)です。
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写真4 土星 |
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昨シーズン(上段)と今シーズン(中段/下段)の模様の見え方は大きく変わっていない。 撮影/風本 明(京都市、30cmニュートン、NEC PICONA) スケッチ/平林 勇(東京都日野市、20cmニュートン、x411)
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一方、明るい帯(Zone)については、新川勝仁氏が今シーズンのSTrZ(南熱帯)〜STZ(南温帯)にかけての地域の青味が強くなっていることを指摘しています(9月27日)。色調の変化を定量化するのはむずかしいのですが、継続的に追いかけてみたいと思います。
9月29日UTにE.グラフトン氏(米国テキサス)から高解像度画像の報告があり、土星の中緯度(STB北縁)に小さな白斑が出現し、自転に伴って移動する様子がとらえられました。経度はω3=94.5°ですが、土星面上に自転を追いかける模様が出現することは非常にまれです。ただし、とても小さな白斑ですので、日本でのシーイングではとらえるのは無理なのではと思われます。
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