@ mid-SEB outbreak
2002年12月中旬にmid-SEB outbreak(南赤道縞中央の白斑突発現象)がII=143°で発生しました。発生源に生まれた輝く白斑はSEB内を急速に前進します。また、発生源では連続して白斑が供給されます。今回の発生源はGRS(大赤斑)のすぐ後方にあり、定常的な擾乱領域と活動が区切られている必要があります。最初のoutbreak発生から、12月に2次の白斑が発生し、さらに1月に3回の発生が見られました。2月にも明るくはありませんが、発生源から白斑の発生があったようですが、次第に擾乱領域の活動と区別が難しくなってきました(図1)。
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図1 mid-SEB outbreakの2月の様子 |
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月惑星研究会への報告画像から筆者作成
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SEBは全体的には濃いベルトになりつつあります。SEBs(南組織)はII=240〜60°まで後退する暗斑群で埋められ、SEBn(北組織)はoutbreakの影響なのか、発生源の直後のII=150〜50°まで濃いベルトに見られます(図2)。
図2 2003年2月9/10日の木星面 撮影/永長英夫(兵庫県、25cm反射、PICONA)、柚木健吉(堺市、20cm反射、ST-5c)(拡大) |
A SSTB〜STB
SSTB(南南温帯縞)にはII=10〜90°の範囲に5個の小白斑がきれいに並んでいます。もう一つ、II=220°に別な小白斑が見られます。STB(南温帯縞)の白斑'BA'は、II=300°に位置し、直後に丸い小暗斑、さらにすぐ後方のSTBsに小白斑を伴っています。II=250°にも丸い小暗斑があります。唯一STBのベルトとして残っていた領域が、大赤斑の南側を通過していきました。大赤斑を南に迂回するかのように、STBが湾曲し、そしてベルトが細かな暗斑に分解しています。
B NEB北縁の白斑'Z'
NEB(北赤道縞)は比較的全体が一様な、赤味のあるベルトです。NEB南縁には青暗いフェストーン(festoon)が数多くあり、2月には時々丸い形状をしたfestoonも出現しました。NEB北縁には、6個の赤茶色のバージ(barge)がII=20,100,200,235,255,340°にありました。図3は過去3シーズンのNEB北縁のバージを黒丸で、NTrZ(北熱帯)の白斑を白丸でプロットしています。図中に'Z'と示しているNTrZ白斑は、寿命が長いことと、他の模様に比べて前進速度が速い特徴を持っていますが、過去に前進する際にNEB北縁のバージを食いつぶして消失させています。この'Z'白斑がII=260°に位置し、まさにその前方のバージに接近しています。これから短期間の間に、バージが次第に見えなくなるかもしれません。
図3 NEB北縁のバージとNTrZ白斑'Z' 月惑星研究会への報告画像から筆者測定(拡大) |
C NTBの淡化と北温帯流-B
1989年から14年ぶりにNTB(北温帯縞)が淡化したためか、北半球には見える模様が少なくなってきました。2月末で、II=240-250°とII=310-330°に細い暗部(bar)が見られます。この2個の暗部の動きは、平均的な第II系に対してかなり高速に前進しており(-45°/月)、北温帯流-Bと呼ぶ約9時間54分40秒の自転周期を持っています。
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