火星は3月には視直径が6秒を越え、ふだん火星を観測している人には、もっとも小さい時の2倍の大きさの火星を見ることができ、いよいよ火星のシーズンがきたという気持ちになってきました。この大きさになると主な模様は肉眼でも見えるようになってきています。
月惑星研究会関西支部には、世界中の観測者から観測報告がたくさん届きます。現在はインターネットの普及にともない、24時間体制で火星の監視活動ができるようになってきました。おそらく今年は前回の2001年以上にたくさんの観測が集まると思われます。
今月の最大の関心事は、なんと言っても南極冠の姿を確認することです。南極冠が最大になるのはLs(火星から見た黄経で、火星の季節を表す値)が140°くらいの時期に当たりますから、3月はまさしく南極冠が最大になって見える時に相当します。
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図4 3月の火星(視直径 6.7-7.4秒) |
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観測/池村俊彦(名古屋市、31cm反射)、風本 明(京都市、31cm反射)、安達 誠(大津市、31cm反射)
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3月の最初の報告は天候の関係で名古屋の池村氏の3月15日UTが最初となりました(図4)。この画像では、南極に雲がかかっていることがよく分かります。良い気流ではないので模様ははっきりしませんが、南極の雲が明らかに認められます。よく見るとこの雲は東西に2つの明るいところから出ていることが分かります。一つは南極の雲。さらにもう一つは西の端から出てきた霧によってできたものです。おそらく左側(東)の明るい部分は極冠だと思われます。
3月20日UTは気流がよかったようで、池村氏の画像では南極冠がしっかり白く見えています。3月22日の観測では、明らかに南極冠がとらえられました。この大きさになると肉眼でもとらえられるということです。
南極冠はこの後次第に小さくなるのですが、Deの値が変化し、地球からはよく見えるようになりますから、かえって大きくなってきたような錯角を覚えることでしょう。暗い模様は、特に目立った変化はありませんが、南極付近のもやのせいか、この辺りの模様ははっきりと認められませんでした。部分的には濃いベルト状の暗い模様が南極冠を取り巻いているところも見られています。
このあと、火星の季節は春になり南極冠が次第に融けて小さくなっていく様子が見られることでしょう。また、2001年の大黄雲の影響を受け、新しい模様が出現しているのではないかと期待される、南半球のダエダリアの様子もはっきりすることでしょう。視直径が大きくなってくる火星の観測はこれからますます重要になります。
●第27回 木星会議
6月21/22日に福岡大学にて木星会議が開催されます。世話人は福岡大学の竹内覚さんです。詳しい情報はWEBをご覧ください。
- http://www.cis.fukuoka-u.ac.jp/~takeuchi/JupiterConf27th/
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