mid-SEB outbreak(南赤道縞の白斑突発現象)は、勢力を弱めているものの、その活動はまだ続いています。発生源はII=170°付近にあり、SEBへの白斑の供給が続いています。ただ、目立った明るい白斑ではなく、次第にSEB北縁に向けて幅が狭くなっています。相変わらず大赤斑後方の定常的な攪乱領域は消失したままです。過去の観測では、mid-SEB outbreakの末期には発生源からの白斑の供給が止まると、後方から数十度の長さを単位で一気に消失します。実際に今回はすでに11月に後方の25°の長さが消失しています。もう少しでmid-SEB outbreakの活動も終了するのかもしれません。
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画像4 2003年12月の木星面 |
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撮影/@C永長英夫(兵庫県、25cm反射)、AB福井英人(京都市、25cmミューロン)
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SSTB(南南温帯縞)には5個の小白斑がGRS(大赤斑)の経度付近に見られます。昨シーズンの終わりには、5個の小白斑は経度長90°の範囲に狭まってきて、もしかすると白斑どうしのマージが起こりそうでした。しかし、現在は経度長100°まで拡がっています。元々、SSTBの小白斑どうしは、近寄ったり、遠ざかったりと、思っているよりもふらついています。今回は、最前方の小白斑が加速して離れていったように思われます。
STB(南温帯縞)の白斑'BA'は月末にはII=180°付近にあり、輝度はあまりないものの、周りが暗く縁取られているので分かりやすくなっています。この後方には長さ50°ほどの複雑な青味の強い領域があり、その後端部には赤茶色の暗斑があります。この暗斑の後方II=240°から長さ60°ほどSTBの濃化部が見えています。'BA'後方の青味の強い領域は、低気圧性の逆周りの循環気流だろうと思われます。
2002年12月に形成されたSTBの丸い暗斑が、GRSに後方から接近しています。1月末にはGRSの真南に達しますが、GRSの渦に巻き込まれるなどしないでこのまま通過するでしょう。逆にGRSから離れていく際に変化が起こるのではないかと思われます。
NEB(北赤道縞)はずいぶんと幅が狭くなり、昨シーズンにNEB北縁に見えていたバージは全くなくなりました。また、そのためにNTrZに露出したノッチもII=190°のform'Z'以外は見えなくなりました。淡化したNTB(北温帯縞)やNNTB(北北温帯縞)もそのままで、全体的に北半球は寂しい感じがします。
画像5 2003年12月21-23日の木星展開図 v撮影/福井英人、Eric Ng(香港、32cm反射)(拡大) |
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