1月27日から31日にかけて、関西地方は特別な高シーイングに恵まれました。冬場でも時折良い条件に当たる時がありますが、画像2のような高解像度画像を得られた永長英夫氏の努力はすばらしいものです。
画像2 2004年1月の木星 撮影/永長英夫(兵庫県、25cm反射)(拡大) |
STBs(南温帯縞)の小暗斑がGRS(大赤斑)を追い越していく様子を画像3にまとめました。STBのジェット気流は多少大赤斑の周りの気流と影響をし合うのですが、STBsの緯度では大赤斑とは関係しないことが知られています。今回のSTBs暗斑は小さいながらもかなり濃いやや楕円形の模様ですが、見事に大赤斑の南を通過していきました。ただ、大赤斑の前方に回ると、この緯度の模様は不安定になる傾向があり、3月頃には何らかの影響が起こるのではないかと予想しています。STB白斑'BA'は、周囲を取り巻く暗部がやや前方に伸びています。'BA'の後方のSTBは、青味の強い領域は消失しましたが、全体としてベルトの濃化が起こり、'BA'から100°ほどの経度で濃いSTBが形成されています。
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画像3 STBsの小暗斑 |
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STBsの小暗斑が大赤斑の南を通過。 撮影/月惑星研究会関西支部
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mid-SEB outbreak(南赤道縞内の白斑突発現象)は次第に勢力が弱まっていますが、II=160°付近の発生源から前方に白斑が供給されています。活動領域は次第に狭まってきました。
NEB(北赤道縞)は、II=330〜170°の200°ほどの経度で活発なrift(リフト)の活動が見られます。riftはNEB中央に発生した白斑が東西に引き伸ばされる現象で、穏やかだったNEBが再び活発になってきています。NEBの南縁のEZn(赤道帯)にも、活発な活動が観測されています。青味がかったfestoon(フェストーン)は、ここしばらくは見られなかった形状に変化し、所々に大きな白斑の活動が見られるようになりました。
画像4 2004年1月27/28日のの木星展開図 撮影/永長英夫(兵庫県、25cm反射)(拡大) |
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