STB(南温帯縞)の白斑'BA'が、GRS(大赤斑)の南を通過する現象が観測されました。GRSの経度はII=95.5°にあり、'BA'は7月7日にII=100.0°(永長氏)でしたが、14日にII=95.5°(D.Parker氏)とちょうど真南に位置し、その後19日にII=92.1°(瀧本氏)、24日にII=89.0°(福井氏)と前進しています。6月初めに'BA'の直前に暗斑が出現し、そのままの姿でGRSを通過しています。特に通過後に'BA'の形状に変化は起こらなかったようです。
7月9日、SEB(南赤道縞)のII=18.6°(福井氏)にやや明るい白斑が出現しました。その後はこの白斑の活動は衰えたようですが、今シーズンのSEB北部は青みを帯びたベルトで、その中に不規則な白斑が入り乱れる様子が観測されてきました。合明けの新しいシーズンに、SEBがどのように変化しているか、もっとも注意する点でしょう。
北半球のNEB(北赤道縞)は、ほぼ全周に渡って拡幅が見られます。今シーズンはNEB内部を斜めに横切るrift(リフト)の活動によって、次第にNEBが北に幅を広げていて、5月に2/3程度であったものが、6月には全周に波及しました。7月もこの傾向は続いており、全周に渡って拡幅したNEBを見ることができます。
画像2 2004年7月の木星展開図 撮影/永長英夫(兵庫県、25cm反射)、D.Parker(米国、40cm反射)(拡大) |
●第28回木星会議(国立天文台)
6月27/28日に、第28回木星会議が国立天文台で開催されました。全国から40名の参加者が集まり、2日間に渡り議論が行われました。国立天文台のご協力をいただき、例年とは異なった雰囲気で、とても有意義な会議でした。
6月27日(土) |
・2003-04年の木星面のまとめ | (堀川邦明、伊賀祐一) |
・講演「シューメーカー・レヴィー彗星の木星衝突から10年」 | (国立天文台:渡部潤一先生) |
・金星によるブラックドロップ現象の正体 | (中神輝男) |
6月28日(日) |
・木星の縞模様構造とアンモニア分布について | (竹内 覚) |
・緯度計測からの白斑マージに関する考察 | (伊賀祐一) |
・1990年以降における大赤斑の縮小とその寿命に関する考察 | (堀川邦明) |
・USB2.0 WEBカメラPBC003の紹介 | (福井英人) |
・分科会:- 撮像(平林 勇)
- 画像処理(伊賀祐一)
- 解析(堀川邦明)
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次回は2005年9月に北海道旭川市で開催される予定です。
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