10月6日UTの初観測が行われてから、新しい2004-05年の観測シーズンが始まりました。とはいえ、夜明け前の低空の観測で、10月末になってもようやく高度は30°と、かなり厳しい条件でした。シーズン初めは、とにかく合の間に木星の模様に大きな変化が起こっていないかを確認することです。この時期の観測では、たとえベルトが2本しか写っていなくても貴重な情報になります。画像1は、こうした中で比較的好条件に恵まれた数少ない画像です。
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画像1 2004年10月の木星 |
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撮影/福井英人(静岡県、25cmミューロン)、瀧本郁夫(香川県、31cm反射)、永長英夫(兵庫県、25cm反射)
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10月6日UTの福井氏の画像で、GRS(大赤斑)がII=98°付近に観測され、その前方のII=55°にSTB(南温帯縞)の白斑'BA'が確認されました(先月号参考)。その後の観測で、16日UTに永長氏から、GRS後方のSEB(南赤道縞)がずいぶんと淡くなっているとの連絡を受け取りました。明らかにGRSをはさんで左右のSEBの濃度が違っています。昨シーズン初めの2003年9月には、GRS後方のSEBにII=190°までの経度でmid-SEB outbreakに伴う白斑群が観測されましたので、再発したのではないかと大きな興味が向けられました。ところが、21日UT、23日UTの観測を見ると、確かにGRS後方のSEBは淡くなっていますが、mid-SEB outbreakの特徴的な顕著な白斑は認められません。このことから、GRS後方の定常的な撹乱領域の活動であると考えられます。
画像2 2004年10月の木星展開図 撮影/福井英人、瀧本郁夫、永長英夫、C.Zannelli(イタリア、18cmマクストフ)(拡大) |
メンバーの精力的な観測によって、今年は画像2の示すように、1枚の展開図を早くも作成することができました。SEBは、GRS後方の定常的撹乱領域の他に、II=260°付近に斜めのリフトが見られ、そこから後方のSEBはGRSの経度まで二重構造をしています。昨シーズンと比べると、SEBの幅はやや狭くなっていて、それはEZs(赤道体南部)が淡化したように思われます。
逆に、NEB(北赤道縞)は幅が広がっていて、昨シーズンから見られていたNEB拡幅が全周に及んでいます。そして、昨シーズンのNEB北縁は凸凹が多く見られていましたが、今シーズンはNEBnが濃いベルトとして全周を取り巻いているようです。1997年頃から継続している長寿命のNTrZ(北熱帯)の白斑'form-Z'は、今のところは観測できていませんが、過去のドリフトからII=110°付近に予想されます。
GRSは10月30日UTにII=97°付近(永長氏画像)に位置しています。BAは10月6日UTにII=55.1°(福井氏画像)と観測されましたが、その後は条件に恵まれていません。一方、SSTB白斑がII=137°(21日UT、福井氏)とII=232°(24日UT、永長氏)に観測されています。昨年からのドリフトを考えると、この2つの白斑の95度の間に、5個のSSTB白斑が集まっているのではないかと考えられます。
NTB(北温帯縞)は2002年12月に淡化して以来、ベルトは見られません。さらにNNTB(北北温帯縞)も濃いベルトは観測されていませんから、全般的に北半球はさびしい感じがします。
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