10月6日に初観測が行われたことを思うと、木星は11月には次第に高度を上げてきていますが、まだまだ観測はきびしい条件でした。画像1は、国内での観測から選んだものですが、しだいに細かな模様をとらえることができてきました。これらの観測画像から、画像2に示すような木星面の展開図を作成しました。
画像1 2004年11月の木星 撮影/永長英夫(兵庫県、25cm反射)、池村俊彦(名古屋市、31cm反射)(拡大) |
画像2 2004年11月の木星展開図 撮影/瀧本郁夫(香川県、31cm反射)、永長英夫、池村俊彦(拡大) |
@ 幅広いNEB
NEB(北赤道縞)は、木星面でもっとも目立つベルトの一つですが、今シーズンはさらに目立っています。NEBの幅はかなり広くなっていて、ほぼ全周に渡って安定したベルトになっています。また例年よりもNEBの赤みが強まっていて、内部にもリフトや白斑のような目立った模様がなく、太いNEBがぐるりと1周しているように見えます。NEB南縁には、いつもならば青黒いフェストーンが目立つのですが、今シーズンは大きなフェストーンが見当たりません。
画像3の左図では、2003年と2004年の模様の緯度を分かりやすいように1/2ずつ分割してあります。他のベルトでは変化がありませんが、NEBは北に2倍ほどの幅に広がったベルトになったのが分かります。最近の観測では、NEBはほぼ周期的に様相を変化させています。幅の狭くなったNEBの状態から、次にはNEB北縁に暗斑が飛び出して凸凹の激しい状態へ、そしてNEB北縁まで幅が拡張した状態を3−4年のサイクルで繰り返しています。今シーズンのような完全に拡幅期になったのは、1997年、2001-02年であり、ほぼ同じサイクルとなっています。前回の拡幅期のあとで見られた画像3右図のような、赤茶色のバージ(barge)やNEB北縁に入り込んだ白斑ノッチ(notch)が、これから多く見られるようになると考えられます。
画像3 木星のNEBの変化 撮影/永長英夫(兵庫県、25cm反射)(拡大) |
A SEBの動向
SEB(南赤道縞)も安定なベルトとして知られていますが、今シーズンは少し変化が見えてきたかもしれません。GRS(大赤斑)の前方と後方では、SEBの濃度が大きく変わってきました。もちろん、大赤斑の後方には定常的な撹乱領域がありますが、顕著な明るい白斑群は少ないし、全体的にSEBが淡くなっています。また、定常的撹乱領域の後端部も、10月のII=140°から20°ほど拡張しています。
SEBもいつまでも安定したベルトのままでいるわけではなく、近いうちに必ず淡化します。何回も淡化しているのに、その淡化のステップを追跡できたことはありません。
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