6月末になり、火星はいよいよ10秒台に近付いてきました。明け方の東天高く昇るようになり観測の好機となりました。視直径は最接近の時のほぼ半分の大きさ(10秒)になり、模様も良く見えるようになっています。一般的に10秒を越えると、火星は観測の好機と言われます。6月では、火星の南半球は春の真っ盛りになっています。そのため、南極冠も急速に小さくなってきており、これからますます小さくなっていく姿が見られます。極冠の内部の観測はなかなか難しいですが、夏は良い気流が得られやすく、これからは永久南極冠の確認にも目を向けましょう。
南極冠が縮小を始めると、朝霧が南半球の朝のリム(火星像の端)に見られるようになります。6月までの時点ではまだそれほど目立ってはいないようですが、これからはリムに朝霧がしだいに目立つようになるでしょう。
オランダのR. Bosman氏が6月27日にアウロラエ(オーロラ湾)のすぐ北に明るい斑点を見つけました。ローカルダストストームという、局部的な砂嵐の発生でした。この明斑は6月28日、イギリスのM. Mobberley氏の画像によって拡がっている姿が記録されています。残念ながら、この様子を画像の中央付近でとらえた観測がなく、状況を正確につかむことはできませんでした。7月2日にアメリカのD. Parker氏の観測で、同じ部分を観測していますが、この時には既に跡形もなく、普段の姿に戻っていました。今回のダストストームの発生は、過去の記録から見て極めて普通の時期に当たり、これからこのようなダストストームの発生が期待されます。
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画像4 2005年6月の火星 |
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撮影/Z.Pujic(オーストラリア、31cm反射)、D.Kolovos(ギリシア、28cmSCT)、安達誠(大津市、31cm反射)、永長英夫(兵庫県、25cm反射)、R.Bosman(オランダ、28cmSCT)、M.Mobberley(イギリス、25cm反射)、D.Parker(アメリカ、40cm反射)
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