12月18日に発生したmid-SEB outbreak(SEB中央の白斑突発現象)は、今月も活発な活動を続けています(画像1)。そのため、SEB(南赤道縞)は木星面でもっとも変化の激しいベルトとして観測されています。mid-SEB outbreakは、発生源から次々と白斑が供給され、経度減少方向(左)に白斑が拡がっていく現象です。白斑と白斑の間は濃い暗部で区切られ、特徴的な様相が見られます。
活動領域の後端部が発生源で、12月18日にはII=350°でしたが、発生源も少しずつ前進していて、2月末にはII=328°となっています(ドリフトは-9°/月)。outbreakの前端部は、かなり速く前進するので、1月末にII=285°、2月末にはII=230°に達しています。その結果、outbreakの白斑群は2月末には90°もの長さに拡がっています。前端部のドリフトは、1月末には-65°/月と予想しましたが、現在は-55°/月と前進速度はやや遅くなっています。それは、outbreakの白斑は前進すると、次第にSEBnに向かって細くなり、白斑の位置が分かりにくいからかもしれません。なお、2月13日にII=280°で明るい白斑の出現が見られました。
画像1 mid-SEB outbreakの発達(拡大) |
大赤斑(GRS)はII=110°に位置し、南側に暗いアーチがかかっていますが、オレンジ色もあまり強くない状態です。GRS前方のSEBsは、かなり凸凹がありますが、気流が悪くて詳細は不明です。GRS後方のSEBには、もう一つのoutbreakの活動が見られます。12月にはII=180°に明るい白斑が出現し、1月には活動領域がII=210°まで拡がりました。しかしながら、2月に入ると白斑の活動は弱まっており、通常の大赤斑後方擾乱領域と区別ができなくなってしまいました。それより、後方からせまってきているoutbreakの白斑群が問題で、2つの活動が混ざり合ってしまうのか、それともきれいに分離したままなのか、3-4月の観測が興味深くなってきました。
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画像2 STB白斑'BA' (2006年2月27日) |
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撮影/ Christopher Go氏(フィリピン、28cmSCT)
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STB(南温帯縞)の白斑'BA'に異変が起こっています。2月27日にChristopher Go氏(フィリピン)から、BAが赤くなっているという報告がありました(画像2)。この内容はNASAニュース(3月4日)でも取り上げられ、大赤斑が赤いのは強大な渦巻きであることに関係しており、BAが赤くなることはBAも大赤斑と同様の勢力を持った渦になる可能性がある、と報じています。しかしながら、BAが合体する前の3個の永続白斑は、何年もの間姿が見えなくなったり、色が赤みを帯びた時期もあります。また、大赤斑も赤みが強くなったり、白くなって大赤斑孔になったりを繰り返してきました。これからBAがずっと赤くなるのかは、長い期間の観測が必要でしょう。我々の観測では、今回の赤みのあるBAは1月8日ごろからの現象のようです。
画像3 2006年2月24/25/27日の木星展開図 撮影/ 永長英夫氏(兵庫県、25cm反射)、C.Go(フィリピン、28cmSCT)、T.Olivetti(タイ、28cm反射)(拡大) |
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