今月も2005-06年の木星面に見られた現象を解説します。
NEB北縁の白斑の合体
NEBが北側に幅が広がっている時(拡幅期)、NEB北縁にはノッチ(notch)と呼ばれる白斑が複数個存在します。この白斑のうち、'Z'と名付けられた白斑(WSZ)は特異なもので、1997年から10年間継続して存在しています。そして、他の白斑は体系IIに対してほぼ静止していますが、この長寿命のWSZはずっと前進を続けていました。そのために、WSZは「NEB北縁の壊し屋」ではないかと言われてきましたが、実際にその現場を見ることはありませんでした。
2006年6月に、WSZが後方から接近し、前方の白斑とマージ(合体)する現象が初めてとらえられました(画像3)。特に接近していた2個の白斑が、6月24日にお互いの周りを時計方向に回り込む動きを見せ、6月29日には1個の白斑になりました。マージ後の白斑WSZはひと回り大きさが増しています。
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画像3 NEB北縁の白斑のマージ(A) |
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撮影/月惑星研究会
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さらに、2006年9月にも、WSZはもっと前方にあった白斑に追いつき、時計方向に相互に回転しながら、9月13日に1個の白斑にマージする様子が観測されました(画像4)。同様にWSZが前進を続けるとしたら、図5に示すように、2月末(c)と3月末(d)に、再びNEBの白斑をマージする様子を観測できるかもしれません。
画像4 NEB北縁の白斑のマージ(B) 撮影/月惑星研究会(拡大) |
画像5 NEB北縁の白斑のドリフトチャート ○印がNEB北縁の白斑、●印がNEB中央のバージ(拡大) |
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