木星の北半球では、約半周の区間で模様がほとんど見られなくなっています。北
赤道縞(NEB)は、II=130°にある巨大バージ(barge)からII=330°の北熱帯(NTrZ)
の長命な白斑WSZの間で細化が進み、太さが去年の3分の1程度になっています。
このため、この区間にある3個のバージはベルトから分離して、明るいNTrZの中
の孤立した暗斑に変化しかけています。淡化したベルトの北部には、まだ薄茶色
が残っていますが、このひと月でかなり淡くなってきました。残る区間でも北縁
が少し淡くなっているので、この区間にも細化が波及する可能性があります。
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[図1] 11月末〜12月初の木星面展開図 クリストファー・ゴー氏(Cristopher Go、フィリピン)の画像から筆者作成。SEBが全周で顕著なのに対して、北半球は、区間Aではまだ縞模様が見られるものの、区間Bでは模様に乏しくなっているのがわかる。 |
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NEBの北側でも、10月頃まで比較的明瞭だった北組織(NTBn)と北北温帯縞(NNTB)
が淡化しつつあります。II=150°から0°の区間では、痕跡状のすじ模様が残る
のみで、条件が悪いとほとんど模様を見ることができません。ただし、それ以外
の区間では、NTBnが右下がりの傾いた暗条として見えていますし、NNTBも2ヵ所
で濃い断片が残っています。
NEBの細化とNTB、NNTBの淡化は、ほぼ同じ経度範囲で起こっていて、木星の片面
では、細くなったNEBの北には模様がほとんど見られません。一方、残る片面で
は以前の縞模様が残っているため、まるで北半球が二つの区間に分割されてしま
っているように見えます。
南半球に目を向けると、対照的に縞模様が顕著です。大赤斑(GRS)の前方に伸び
る南熱帯(STrZ)のストリーク(dark streak)は、期待したほど淡化が進んでいま
せん。このひと月で前端部分がやや衰えましたが、その他はほとんど変化なしで
す。大赤斑の南にかかるアーチはまだ顕著で、赤斑孔(RS Hollow)の状態が続い
ていますが、内部は濁って薄暗く、かなり赤みがあります。大赤斑後方の南赤道
縞(SEB)には、約30°の範囲で乱れた白雲が見られます。時々、明るい白斑が出
現するなどの消長はありますが、それほど激しい活動はありません。その後方で、
青黒い北組織(SEBn)が厚く続く一方、大赤斑前方では、赤茶色の南組織(SEBs)が
顕著です。この色調の違いは全周に及んでいて、カラー画像ではSEBが南北に分
断されているように見えます。
現在、木星の縞模様は南半球に片寄っているように見えます。昨年はSEBが淡化
して南半球の方が明るかったのですが、わずか1年で逆になってしまいました。
木星面の変化の激しさには驚かされるばかりです。
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