火星の視直径は11秒になりました。これからどんどん小さくなり、条件も悪くなります。
Lsは140°で、北半球の夏至と秋分の中間に相当します。
北極冠は事実上最小の状態になっています。近年の画像は目を見張るものがあり、MGSで
撮られた永久北極冠の姿を彷彿とさせるような報告もあります。火星面では非常によく晴
れた地域(大気中の水蒸気量の少ない地域)が目立ちました(図1)。朝霧が少なくなった代
わりに、アマゾン周辺からタルシスやクサンテ方面の氷晶雲が目立っています。5月15日
にはフランスのペリエ氏(Christophe Pellier)が東西にバンド状に広がった氷晶雲を記録
しました。赤道付近と南北半球の中緯度地方に横たわっていました。国内でも、5月23日
頃、エリシウム付近で淡く記録されました。
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[図1] 火星面の晴れ間 |
南北半球に、乾燥した晴れ間が出現。特に黒いところが晴れた領域。撮像:ホアキン・カマレナ氏(スペイン、30p) |
氷晶雲が目立つこの時期は、成層火山は赤黒い斑点として観測されます。オリンピア山や
タルシスの3つの成層火山は、中央の小黒点の周りをリング状の暗部が取り巻くような姿
で記録されました。しかし、これも6月に入るとほとんど見られなくなっています(図2)。
5月15日にペリエ氏は、アキダリウムの中の白雲が移動する様子をおよそ2時間半に渡って
捉えました。報告によれば時速130〜140q程度の速度で広がっているということでした。
動画もありますので、興味のある方は月惑星研究会のHPをご覧ください。
南極は冬至を過ぎて、極冠の形成の時期になっています。次回は、南極の変化が見られる
ことでしょう。
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[図2] 氷晶雲と火山による斑点 |
白い部分が氷晶雲で、3個並んだ暗斑はタルシス火山の頂上部。撮像:ジョン・スーセンバック氏(オランダ、28cm) |
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