火星は7月11日にスピカのすぐ近くで東矩となりました。地球から遠ざかって、視直径は
9秒台となり、表面の細部を捉えるのは難しくなってきました。Lsは159°と、北半球の秋
分が近づいています。
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[図1] 白雲の広がった南極 |
南極を覆う白雲の縁が火星像の上端に見られる。撮像:堀内直氏(京都府、30p) |
太陽光が届かないこの時期の南極地方は白雲に覆われており、その下では南極冠が形成さ
れつつあります。報告画像でも、南極を覆う白雲の端をとらえたものが見られます(図1)。
大シルチスのすぐ東にあるイシディスでは、夕暮れになると明るく白い雲が観測されます。
この季節になるといつも観測される現象です。
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[図2] ダストストームの発生 |
中央右にリムから伸びた白い馬蹄形の雲が見える。撮像:ティッジャーノ・オリベッティ氏(イタリア、41p) |
6月18日、エリシウム付近で広範囲に白雲が広がる現象が起こりました。残念ながら、日
本からは観測できない経度だったのですが、当日この雲をリム付近で捉えた画像が報告さ
れていて、リムが黄色くなっていることから、ダストストームだったことがわかりました。
このダストストームは、広範囲には広がらなかったようです。
7月2日にイタリアのオリベッティ氏(Tiziano Olivetti)が、イシディス付近から東へ馬蹄
形に広がるダストストームを記録しました(図2)。青画像でも赤画像でも記録されている
ことから、ダストストームだと判断できます。発生は、前日の7月1日ごろと思われます。
大規模なものは馬蹄形の内側も明るくなりますが、暗いのですぐに拡散するものと判断で
きました。残念なことに、この現象はその後に観測がなく、追跡できませんでした。後か
ら発表されたMROの情報では、7月5日くらいまで痕跡を残したようです。
視直径は小さくなったものの、まだまだ目の離せない状況が続いています。これから夏の
気流の良い時がやってきますので、引き続き観測をお願いしたいものです。
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[図4] 2014年の火星面 |
撮像:ダミアン・ピーチ氏(英国、35cm)、エフライン・モラレス氏(プエルトリコ、30cm)、堀内直氏(京都府、30cm)、熊森照明氏(大阪府、28cm)、大田聡氏(沖縄県、30cm)、池村俊彦氏(愛知県、38cm)、山崎明宏氏(東京都、31cm)、クリストファー・ゴー氏(フィリピン、35cm) |
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