図1は2014-15シーズンの代表的な木星面です。今シーズン最も注目されたのは、大赤斑
(GRS)周辺の活動でした。2014年10月に大赤斑後方に循環気流が形成され、カギ爪のよう
に発達した大きな暗部から大赤斑前方に暗斑やストリーク(dark streak)などが繰り返し
放出されて、南熱帯(STrZ)を暗化させました。この活動は今年1月まで続きましたが、そ
の後急速に淡化・消失してしまいました。
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[図1] 今シーズンの木星面 |
撮像:永長英夫氏(兵庫県、30cm)、熊森照明氏(大阪府、28cm)、堀内直氏(京都府、30cm)、米山誠一氏(神奈川県、25cm)、宮崎勲氏(沖縄県、40cm)、大田聡氏(沖縄県、30cm)、岩政隆一氏(神奈川県、35cm)、小澤徳仁郎氏(東京都、35cm) |
大赤斑はシーズンを通して明瞭で、オレンジ色が鮮やかでした。前述の暗部の活動によっ
て淡化すると思われましたが、まったく影響が見られませんでした。これは大変異例なこ
とです。昨年8月にII=215°だった経度は、II=230°へと後退しました。暗部の活動のた
め、一時的に後退のスピードが鈍ったのですが、現在では元に戻ったようです。長径は平
均14.2°で、近年の急速な縮小はストップしましたが、依然として小さいままです。
永続白斑BAは、シーズンを通して暗い縁取りのある薄暗い白斑でした。現在はII=90°に
位置しています。BA後方に長く伸びていた南温帯縞(STB)の断片は、次第に短縮して暗斑
になってしまいました。近年はBA後方でSTBの形成と短縮・消失が繰り返されていて、現
在の断片は2000年から数えて4世代目になります。大赤斑の後方にあるSTB Ghostは5世代
目のSTBと考えられており、いずれはBAに追いついてベルトの断片となるはずです。現在
は青黒い低気圧的な領域ですが、大赤斑を通過する際に暗化・伸長する可能性があります。
シーズン明けにどのような状態になっているか注目です。
北半球では北赤道縞(NEB)の拡幅が進行中です。II=330°付近にある白斑WSZの後方ではか
なり幅広くなっていますが、その他の経度は未発達のように見えます。こちらも合明けの
状況を確認する必要があるでしょう。
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