ふたご座の火星はまだ観測の好機にありますが、早くも留となり順行に戻りました。 木星は2月27日に東矩を迎え、日没後の南天高く輝いています。 土星は西低くなり、観測シーズンは終了です。
ここでは2月下旬までの惑星面についてまとめます。 この記事中では、日時は世界時(UT)、画像は南を上にしています。
火星火星の視直径はまだ12秒ありますが、強烈な寒波のせいで、国内の観測は厳しいものがあります。 このひと月の間に2つの目立つ現象が起こりました。
ひとつは北極冠で、1月23日にTempe(50W〜90W, +45)の北側で、極冠を覆う雲(極雲)に晴れ間ができ、本当の極冠が見えるようになりました(図1)。 それまでは、極雲の白色と黄色っぽい極冠と、垣間見える黄色いダストが入り交じり、本当の極冠の大きさを示していませんでした。 2月20日には極雲が消えつつあり、北極冠が直接見えるようになってきています。 今までよりも一気に小さくなったように感じるのはこのためです。
もうひとつは2月18日に発生したMare Acidarium(20〜45W, +40〜55)北部の細いダストストームのバンドです。 ここは北半球最大の暗部で、ダストストームや白雲が盛んに出る場所です。 風の影響を受けて発生したようです。 翌日には南側の光点(これもダストストーム)と一緒になり、南側に幅が広がりました。 この時期にしては、比較的大きな変化です。
火星は白雲の季節となり、火星面の半分くらいは白雲に包まれています。 青画像は地表が写らない分、雲の分布や時間変化を正確に記録できます。 現在はTharsis台地からChryse付近が非常に目立っています。 これからは雲の中に成層火山の頂が、赤黒い斑点状に記録されるようになります。 面白い姿が記録できるでしょう。
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| [図1] 北極冠と極雲 |
| 右端が本当の北極冠で、左側で上(南)に出ているところは極雲。撮像:井上修氏(大阪府、28cm) |
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| [図2] Mare Acidariumのダストストーム |
| 矢印の先に見えるアーチ状の明部がダストストーム。すぐ上の光点もダストストーム。撮像:ギャリー・ウォルカー氏(米国、35cm) |
木星1月に発生したNTBs jetstream outbreakの活動は、激しさを増しています。 最初に発生した先行白斑(LS#1)が、2月初めに二つ目の先行白斑(LS#2)の活動域に追いついて消失すると、入れ替わるように、2月9日に第3の白斑(LS#3)が出現、2月25日の時点でLS#2がI=285°に、LS#3がI=215°に位置し、体系Iに対して1日あたり-4.8°前後で前進しています。
LS#2後方のI=0〜180°では、北温帯縞(NTB)が濃く幅のあるベルトとして復活しています。 その後方は北へ下がってNTB北組織(NTBn)に変化しながら、LS#3の北を通り、木星面を一周しています。
I=180°付近とLS#3の後方は活動的で、乱れた暗斑や白斑が多く、水元伸二氏(東京都)は先行白斑並みのドリフトを持つ白斑があると指摘しています。 英国天文協会(BAA)のRogers氏は、これらを"plumelet(小プリューム)"と呼んでいます。
過去のoutbreakと同様、影響は隣接する北赤道縞(NEB)にも及び、北縁が乱れて白雲が侵入しているところがあり、NEB北部の白斑は、北熱帯(NTrZ)に半露出しているものもあります。
mid-SEB outbreakは、II=240°を中心に60〜70°の範囲で活動を続けています。 領域全体が体系IIに対して1日あたり-1.0〜-1.5°で前進していて、内部は乱れた明暗模様で満たされていますが、コントラストは低く、活動のピークは過ぎたようです。
赤道帯南部(EZs)の攪乱領域(SED)は、I=240〜0°の範囲では、南赤道縞(SEB)北縁の多数の突起や長いフェストゥーン(festoon)などが見られ、活動的です。 一方、I=170°付近の本陣と呼ばれる後端部は、大きな白斑が目立つ程度で低調です。
大赤斑(GRS)はII=68°にあり、オレンジ色の本体に変化はありません。 1月後半に後方のSEB南縁にフックが形成され、大赤斑前方に短い南熱帯紐(STrB)が伸長しましたが、活動は弱く、2月下旬には衰えてしまいました。
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| [図3] mid-SEB outbreakの活動域 |
| SEB内に乱れた白雲が広がっているが、小さなものばかりで、活動のピークは過ぎたように思われる。撮像:宮崎勲氏(沖縄県、40cm) |
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| [図4] NTBs jetstream outbreakの活動状況 |
| 2月16〜17日の7画像から作成した展開図。経度は体系I。2つの先行白斑を▲で示した。LS#2の後方では、NTBが濃い縞として復活している。撮像:宮崎勲氏(沖縄県、40cm)、ジャン=リュック・ドーベルニュ氏(フランス、30cm)、エリック・シューセンバッハ氏(キュラソー島、35cm) |
土星2月9日の伊藤了史氏(愛知県)の画像が、今シーズン最後の観測となりました。 合明け直後の3月24日には地球が環の平面を横切って南側へ移るので、これは環の北側を捉えた最後の観測です。 次に環の北側が見えるのは、13年後の2038年となります。
来シーズンは環の消失で始まります。 条件は悪いですが、どんな土星が見られるか楽しみです。
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| [図5] 今シーズン最後の土星 |
| 環の北側が見える最後の土星。再び環の北側が見えるのは13年後。撮像:伊藤了史氏(愛知県、30cm) |
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