火星は5月1日にかに座で東矩となり、日没後の南天高く見えています。 視直径は5"台と小さくなりましたが、観測はまだ続いています。 土星はみずがめ座からうお座へと入り、日の出時の高度も30°を越えて、観測しやすくなりました。 おうし座を順行中の木星は西天低くなり、観測シーズンはほぼ終了です。
ここでは5月下旬までの惑星面についてまとめます。 この記事中では、日時は世界時(UT)、画像は南を上にしています。
火星北極冠はだいぶ小さくなりました。 黄色っぽかったり白く見えたりと、筆者の眼視観測ではまちまちでした。 撮像観測では変化する極冠の色を、都度確認して再現することが難しいようです。 北極冠は南極冠と異なり、突発的に色が変わることがあります。 地下から二酸化炭素(CO2)ガスが噴出することに起因するもので、最近のハッブル望遠鏡(HST)の画像でも、その様子がよくわかります。
火星面の雲はTharsis(80〜120W, +10)の成層火山周辺が濃く、山頂が雲の穴から見えています。 この雲はLsで120°くらいまで続くので、観測シーズンの終わりまで見られます。 また、Elysium(215W, +30)から西の低緯度でも、淡い白雲帯が300°付近まで見られます。
火星周縁部の雲は、これから最盛期に入ります。 明け方のターミネーター付近でも雲が見えてくるはずで、シーイングがよければ、カラーでも記録できるでしょう。 南極フードはHellasとArgyreの南側で、まだかすかに見えていますが、まもなく見えなくなります。
これらの雲は眼視ではほとんど捉えることはできなくなりました。
5月7日に荒川毅氏(奈良県)と井上修氏(大阪府)が、北極冠の南側にローカルストーム状の明部を記録しました。 規模は小さく、翌日にははっきりしなくなっていました。 この時期はこういった小規模な異常が起こることがあるので、北極冠周囲の状況がよくわかる観測を期待したいと思います。
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| [図1] Tharsisの火山とオリンピア山 |
| 右上の矢印の先に斜めに並ぶ3つの暗斑はTharsisの成層火山で、下の矢印はオリンピア山。赤道付近に東西に伸びる白雲のバンドが見える。撮像:井上修氏(大阪府、28cm) |
土星5月6日16時(UT)、環の平面が太陽を通過しました。 地球は一足早く3月23日に通過、それ以来、太陽の当たらない環の裏側を見る状態となっていました。 悪条件にもかかわらず、数名の観測者が強調処理された画像で環の裏側を捉えることに成功しています。 ただし、環は直線状のかすかなラインで、過去の眼視での記録にある光斑とは、似ても似つかぬ様相でした。
消失時刻に最も近い観測は、12時間前、6日04時(UT)のフォスター氏(ナミビア)の画像で、強調処理された画像で、環をはっきりと認めることができます。 撮像観測の強みが発揮された結果といえます。
一方、消失後は太陽光が環の南側を照らすようになり、明るくなるはずですが、消失の前後で環の見え方に違いはほとんどなく、通常のRGB画像で環が写るようになったのは、6日後の12日になってからでした。 これは昨年秋以降、画像で見る環が急激に暗くなったのと同じ理由で、環の平面に太陽光が十分にあたっていなかったためと考えられます。 眼視やモニター上では、2日後には環が見えると報告されていますので、この点では眼視の方が勝っているようです。 今後は環の太陽に対する傾きがどんどん大きくなっていくので、環の明るさも回復することでしょう。
今回の消失は、過去の知見とは少し違っていました。 条件の悪さや眼視と撮像の違いが重なった結果と思われますが、詳しいことは次の2038〜39年の消失を待たねばならないようです。
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| [図2] 消失直前の環 |
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| [図3] 復活し始めた環 |
| 地球に対する環の傾きはだいぶ大きくなり、リングであることがわかる。画像ではまだ暗いが、眼視でははっきり見えるとのことである。撮像:阿久津富夫氏(フィリピン、45cm) |
木星6月24日の合まで、あとわずかとなりました。 木星面は今月も活動的ですが、条件は悪くなる一方で、詳しい様子を知ることが難しくなっています。
前進を続けるmid-SEB outbreakは、先端がついに大赤斑(GRS)の北に達しました。 大赤斑後方の白雲領域(post-GRS disturbance)は、南に押し上げられて、潰れてしまったようです。 5月半ばには、赤道帯南部(EZs)の攪乱領域(SED)も大赤斑北側を通過、前方の南赤道縞(SEB)北縁が淡化して、EZsは大きな明暗模様で乱れています。
3月下旬に出現した大赤斑後部のフックは5月後半も顕著です。 大赤斑前方の南熱帯紐(STrB)は順調に伸長を続けていて、南温帯縞(STB)の前端を追い越し、20日頃には先端が体系II=320°付近に達しています。 活動はしばらくの間、続くと思われます。
木星が日の出前の東天に姿を現すのは7月後半になるでしょう。 現在、活動中の重要な諸現象がなお続いているか、木星面がどのように変化しているか、といった点に注目です。
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| [図4] 大赤斑に迫るmid-SEB outbreak |
| mid-SEB outbreakが大赤斑に接近、SEB北部が大きく乱れている。大赤斑の上をエウロパ本体が経過中、右はその影。撮像:堀井恵策氏(兵庫県、28cm) |
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