天文ガイド 惑星サロン2002年10月号 (No.1)伊賀祐一

木星の視直径の変化
木星を観測していると、観測シーズンの初めと衝の頃ではずいぶんと視直径が変化することに気がつきます。2002-03年の観測シーズンの赤道方向の視直径の変化をグラフに示します(図1)。合の直後の8月には32秒ぐらいですが、衝をむかえる2003年2月には45秒台にもなります。図2は、同じ木星画像を合と衝の視直径に合わせてみたものです。観測シーズンでの視直径の変化は1.4倍ぐらいなのですが、面積としては2倍の変化になりますので、見かけの大きさは相当変化していることがお分かりでしょう。

木星の平均軌道半径は5.2AU(天文単位)ですから、合の時には6.2AU離れ、衝の時には4.2AUまで接近することになります。この地心距離の変化が視直径の変化になります。ところで、火星は軌道の離心率が0.0934と大きいために、小接近では14秒しかありませんが、大接近の時には視直径が25秒を超えて、2倍近くも変化します。火星は2003年8月には15年ぶりの大接近をむかえます。一方、木星の離心率は0.0485ですが、やはり最接近時の視直径は44秒から50秒まで12年周期で変化します。近年では1999年に大接近をむかえましたので、残念ながら2011年までは視直径が50秒近くにもなる木星は見られません。


図1 2002-03年の木星の視直径の変化(拡大)

図2 合と衝での視直径の比較

左が合(32秒)、右が衝(45秒)の大きさを並べてみた。
撮影/筆者 1999年10月30日(UT)


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