天文ガイド 惑星サロン2006年6月号 (No.45)伊賀祐一

冥王星探査機ニューホライズンズ

NASAは2006年1月19日に冥王星探査機『ニューホライズンズ』を打ち上げました。2015年夏に冥王星とその衛星カロンに接近し、半年間の探査を行う予定です。パイオニアやボイジャーは海王星までの惑星探査でしたが、人類初の冥王星ミッションです。

我々の太陽系には3つのクラスの惑星があります。これまで地球型と呼ばれている岩石からなる惑星(地球、金星、水星、火星)と、木星型と呼ばれている巨大なガス惑星(木星、土星、天王星、海王星)、それとカイパーベルトの氷の微小天体です。冥王星は大きさが地球の月の2/3しかなく、公転軌道もかなりの楕円で、他の太陽系惑星とは異なり、カイパーベルト天体と言われています。冥王星が惑星ではないという議論もこの理由からです。詳しく言うと、エッジワース・カイパーベルト天体(EKBO)は、海王星の軌道よりも遠い30天文単位から50天文単位に存在する天体の総称です。これまでに10個以上の天体が見つかっています。ニューホライズンズは、2016年以降はこのカイパーベルト天体の探査も予定されており、まさに『新たなる地平線』を切り開く探査計画です。

さて、ニューホライズンズをこの欄で取り上げるには意味があります。これまでの探査機と同様に、木星の重力を利用したスイングバイが予定されているからです。2007年2月には、木星に接近し、試験観測が行われます。2000年10月に土星探査機カッシーニが木星のスイングバイ中に送り届けた詳細な木星画像が再び見られるわけです。なお、発射後13ヶ月で木星に到達するのは最短記録で、すでに4月7日には火星軌道を越えています。

公式URL http://pluto.jhuapl.edu/

画像1 冥王星探査機ニューホライズンズ

提供/NASA

画像2 冥王星・カイパーベルトへの軌道

提供/NASA

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